おにぎり&みそ汁&甘酒は運動後の最強栄養食! おにぎり&みそ汁&甘酒は運動後の最強栄養食!

おにぎり&みそ汁&甘酒は運動後の
最強栄養食!

エネルギー補給にぴったりのおにぎり

エネルギー補給にぴったりのおにぎり

長い夏が終わり、いよいよスポーツの秋。今回は、運動後の疲労回復におすすめの“日本ならではの最強コンビ”を紹介します。

最近のスポーツ栄養学では、運動直後に「糖質」と「タンパク質」を組み合わせて摂ることが推奨されています。糖質は使い切ったエネルギー源(グリコーゲン)を回復させ、タンパク質は傷ついた筋肉の修復を助けるためです。

その点、おにぎりとみそ汁は理想的な組み合わせ。
日本の伝統的な食事でありながら、科学的にも理にかなった組み合わせで、最強スポーツ栄養食と言えます。

エネルギー補給にぴったりのおにぎり

おにぎりは運動後のエネルギー補給にぴったり。運動で消費される主なエネルギー源は糖質で、筋肉や肝臓にグリコーゲンという形で貯蔵されています。お米の主成分である炭水化物は、体内でブドウ糖となり、筋肉や肝臓のグリコーゲンを効率よく回復してくれます。

私が常々おすすめしている雑穀米で作れば、ビタミンB群・鉄分・マグネシウム・食物繊維も同時に摂取でき、疲労回復や貧血予防、腸内環境の改善にも役立ちます。

さらにおにぎりの良い点は、具材を工夫すると栄養価を補強できるところ。具材を変えれば栄養の幅もぐっと広がります。

  • ・鮭:タンパク質とビタミンD
  • ・梅干し:クエン酸
  • ・昆布:ミネラル(特にヨウ素)
  • ・しらす+ごま:カルシウム・ビタミンD・鉄

これらを組み合わせてもいいですよね。どれもおいしく、子どもにも人気の具材です。

みそ汁と甘酒をプラスして、理想の回復メニューに

みそ汁と甘酒をプラスして、理想の回復メニューに

運動すると、汗とともに水分やナトリウム・カリウムなどの電解質が失われます。
よくお水だけを飲む方も見かけますが、通常の生活においてお水は最適ですが、汗をたくさんかく運動の場合、水だけではバランスが崩れて体調を崩すことがあります。
そんな時は、水分と電解質を補えるみそ汁がおすすめです。

みそ汁の良いところは、電解質を補えるだけでなく、おにぎり同様、具材で栄養を自在に足せること。

  • ・豆腐・油揚げ・お麩:タンパク質
  • ・わかめ:ミネラルと食物繊維
  • ・きのこ:ビタミンD
  • ・ネギ:硫化アリルが含まれ、ビタミンB1と一緒に摂ることで疲労回復をサポート

温かい汁ものは、栄養の吸収も助けてくれます。

さらにプラスしたいのが甘酒。

さらにプラスしたいのが甘酒。

「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養バランスがよく、ブドウ糖・アミノ酸・ビタミンB群が豊富と言われています。ビタミンB群は疲労回復、アミノ酸やブドウ糖はエネルギー補給に適しているので、運動後の疲労回復をサポートし、発酵食品として腸内環境を整える働きもあります。ただし、甘酒はナトリウムが少ないため、長時間の運動や大量の発汗後は、塩分も意識して補うようにしましょう。
 秋は肌寒い日も増えてくるので、みそ汁がすぐに飲めない場合でも温めた甘酒を飲むことで、体を内側からぽかぽかにしてくれますよ。

運動前の準備も大切に

運動前の準備も大切に

運動後の回復だけでなく、運動前の水分補給もとても重要です。
前日から水分をこまめに摂り、発汗が多い日や大会前には、経口補水液を適量(体重1kgあたり5-7ml程度/日: 30kg の場合 150-210ml )を少なくとも開始4時間前までを目安に取り入れるのも良いでしょう。

また、日常的に運動をする人が注意したいのが鉄欠乏です。
特に陸上競技のような足を強く踏み込むスポーツでは、衝撃で赤血球が壊れて貧血になることがあります(「運動性溶血」といいます)。陸上を真剣にやっているお子さんで、見た目は元気そうなのに、調べてみると貧血という場合が意外と多いんです。貧血があるとパフォーマンスが落ちてしまうため、普段から鉄を意識した食事を心がけましょう。
 赤身の肉や魚に含まれるヘム鉄、大豆食品や野菜に含まれる非ヘム鉄の両方をバランスよく摂りましょう。鉄が豊富な食品はタンパク質を多く含むものも多いため、鉄を意識することで筋肉づくりにもプラスになります。

まとめ

まとめ

おにぎり、みそ汁、甘酒は手軽に摂取できますし、最新のスポーツ科学にも合致する理想的な回復食として注目してほしいです。運動後30分以内に摂取することで、疲労回復とパフォーマンス維持に役立ちます。糖質・タンパク質・ミネラル・ビタミンがバランスよく摂れ、体をやさしく整えてくれます。

手軽で続けやすい日本の伝統食を、スポーツ後の習慣にしてみてください。

次回のテーマは、遅い時間帯に摂る食事。受験シーズンを控えて、勉強中にもおすすめの夜食などについて紹介していきます。

工藤紀子先生

工藤紀子

小児科専門医・医学博士

Profile

プロフィール

順天堂大学医学部卒業、同大学大学院小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。日本小児科学会認定小児科専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/保育園、幼稚園、小中学校の嘱託医を務める/現在2児の母。クリニックにて、年間のべ1万人の子どもを診察しながら子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。