血糖値スパイクに気をつけよう! 血糖値スパイクに気をつけよう!

血糖値スパイクに
気をつけよう!

血糖値の急激な変動が眠気や病気の原因に

血糖値の急激な変動が眠気や病気の原因に

今回のテーマは「血糖値スパイク」です。血糖値をコントロールすることは子どもから大人まで、一生を通じて大切な健康戦略のひとつだと考えています。

血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急激に上がり、その後急激に下がる状態のこと。この血糖値の急激な変動によって、体にさまざまな不調を引き起こすことがわかってきました。

そもそも血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃さを示すものです。最近はなるべく糖質をとらない糖質制限ダイエットをしている人もいるかもしれませんが、脳の主なエネルギー源はブドウ糖です。糖質は私たちの体にとって必要不可欠な栄養素です。ただし、必要だからといって血糖値は高すぎても、逆に低すぎても問題を引き起こすため、ちょうどいい血糖値に整える必要があります。

血糖値の急激な変動が眠気や病気の原因に

糖質は体内で分解されてブドウ糖になり、それが血液の中に入ると膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて、血糖値をコントロールします。白米や白いパン、甘いものだらけの糖質中心の食事をしていると、血糖値が急激に上昇し、それを抑えようとインスリンが多く分泌され、その結果血糖値が急降下することがあります。これが血糖値スパイクのメカニズムです。

血糖値スパイクが起こると、食後に強い眠気を感じることがあります。これは消化にエネルギーを使うからという理由だけではなく、血糖値が急激に下がることで脳へのエネルギー共有が一時的に不安定になるためとも考えられています。眠気以外にも集中力が低下したり、気持ちが不安定になったりすることもあります。

さらに、血糖値の急上昇は体の「糖化」を進めます。
糖化とは、使い切れずに余ったブドウ糖が体内のタンパク質と結びつく反応のことで、この反応は「メイラード反応」とも呼ばれます。

血糖値の急激な変動が眠気や病気の原因に

メイラード反応と聞くと難しく感じますが、身近な例でいうと、玉ねぎを炒めたときに褐色に変わる現象と同じ種類の反応です。食材がこんがり色づくのと似たことが、体の中でも起こっているのです。

いわば、細胞が“ゆっくり焦げる”ような状態。
体のあらゆる場所にあるタンパク質――筋肉、皮膚、血管、内臓など――が糖と結びつくことで性質が変わり、本来のしなやかさや機能を失っていきます。

こうしてできるのが「AGEs(終末糖化産物)」と呼ばれる物質です。AGEsは体内に蓄積しやすく、シミやシワといった肌の老化だけでなく、血管の硬化を進めるなど、生活習慣病の一因になることが知られています。

つまり、血糖値の急上昇を繰り返すことは、体を内側から少しずつ老化させてしまう可能性があるのです。

血糖値スパイクを防ぐ方法は?

血糖値スパイクを防ぐ方法は?

血糖値スパイクを防ぐためには、食事の順番が大切です。いわゆる「ベジファースト」と呼ばれる方法で、最初に野菜やきのこ、海藻などの食物繊維を多く含む食品を食べ、その後にタンパク質、最後にご飯やパンなどの主食を食べる順番がすすめられています。

食物繊維を先に摂ることで糖の吸収がゆるやかになり、その後にタンパク質や脂質を摂ることで胃の中に食物がとどまる時間が長くなります。結果として糖質が一気に腸に流れ込みにくくなり、血糖値の急上昇を抑えることにつながります。

また、低GI食品を意識することも有効です。白米や白いパンは高GI食品、雑穀ごはんや豆類は低GI食品と呼ばれます。ただしGI値は食品単体での指標です。実際の食事では、食物繊維やタンパク質と組み合わせることで血糖値の上昇は緩やかになります。白いごはんを完全に避ける必要はありません。大切なのは組み合わせです。

発酵食品や朝食をしっかり食べよう!

発酵食品や朝食をしっかり食べよう!

みそ汁や納豆などの発酵食品も、血糖値の安定に役立つ可能性があります。発酵によってタンパク質が分解されているため消化吸収がスムーズで、腸内環境の改善にもつながります。食物繊維と組み合わせることで腸内で短鎖脂肪酸が産生され、インスリンの働きを助けることが報告されています。その結果、血糖値の安定に寄与すると考えられています。

朝食抜きにも注意が必要です。朝食を抜くと体はエネルギー不足の状態になります。その状態で昼食を摂ると血糖値が急激に上昇しやすく、血糖値スパイクを起こしやすくなります。

強い眠気や集中力の低下を防ぐためにも、特に勉強を頑張りたいお子さんには朝食が重要です。朝から適度に糖質とタンパク質を組み合わせて摂りましょう。例えば米糀ミルクとゆで卵、米糀ミルクと納豆ごはんなどは、バランスのよい朝食の一例です。

食事以外の生活習慣としては、食後の軽い運動もおすすめです。散歩などの軽い運動で血中のブドウ糖が筋肉に取り込まれ、血糖値の安定に役立ちます。

次回のテーマは脂質。油の選び方について紹介します。

工藤紀子先生

工藤紀子

小児科専門医・医学博士

Profile

プロフィール

順天堂大学医学部卒業、同大学大学院小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。日本小児科学会認定小児科専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/保育園、幼稚園、小中学校の嘱託医を務める/現在2児の母。クリニックにて、年間のべ1万人の子どもを診察しながら子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。