お米とキレイの関係。

美味しく、健康にも「美」にも欠かせない、お米の力。

2013/10/16

古くから日本人の食卓や暮らしに欠かせないお米。今回は「食」「健康」「美容」などの各分野の専門家である女性6人に、お米とそのパワーにまつわるお話を伺いました。

第六回 経営者(あられ・せんべい販売) 遠藤貴子さん

—遠藤さんが、あられ・せんべい専門店「つ・い・つ・い」を立ち上げたきっかけを教えてください。

ある時、友人から頂いたあられが、大変美味しかったことがきっかけです。聞けば、新潟の老舗の米菓工場で作られたあられで、メインのお客様は70歳代と高齢化し、売上も厳しいとのことでした。

「こんなに美味しいのに、もったいない。もっと他のやり方があるはず」、そう思って、工場に掛け合い、承諾をいただいて商品企画と販売の会社を設立しました。

—どのように商品を企画、販売していかれたのですか?

もともと商品自体は、とても良質で美味しいものでした。
原料となるお米は、「わたぼうし」という甘みのある美味しいもち米で、契約農家が減農薬で栽培しています。これを精米し、劣化しないうちに餅つきをして乾燥させ、あられにします。また、塩は石臼でひいた粒子の細かいものを使用し、合成着色料や保存料などは一切使用せず、一つ一つ職人が手間ひまをかけて作っています。その作業の丁寧さに驚きました。

あられの中には、くず米やタイ米を使ったものも多くあると聞きますから、こうした原材料、製法で作られるあられというのは日本でもかなり珍しいのではないでしょうか。あられはシンプルな原材料で作りますから、素材の良さがダイレクトに表れます。お客様に「お米の風味の残った、美味しいあられですね」と言っていただけるのは、そういう点を評価していただいているのだと思っています。

一方、工場を初めて訪れた頃の販売方法はアピール力のあまり無いものでした。
そこで考えたのが、「若い人や外国の方に喜んでいただけるあられを作る」ということ。私自身はあられが大好きだったのですが、若い人の反応は「何だ、あられか…。」というものでした。また、フランス人の夫とは、ちょうど起業した頃に出会ったのですが、「あられの匂いや色は、臭くてダサくて海外の人には受け入れられないよ」なんて言われて。悔しかったですね。若い人も、フランス人の彼も、あられの本当の美味しさを知らないんだって思いました。

そこから、若い方や外国の方にも受け入れてもらえるようにと、モッツァレラ・ハーブなど新しい味に着手。カマンベールやシーフードカレーなど、現在の人気につながるフレーバーを生み出していきました。今では、お客様から「ワインに合いますね」と言っていただいたりしますし、夫も商品の大ファンです。

—商品開発はどのように行うのですか?

私を含め、従業員みんなで考えます。今年の年始には「わたぼうし」を使って餅つきをし、そのお餅の味から「どんな味を開発したいか」を皆で考えたりしました。そうして出てきたアイデアは、すぐに職人さんに相談します。当初はなかなか新しいチャレンジをしてくれなかった職人さんも、今ではとても協力的で、私達と一緒になって新しい味づくりに挑戦しています。そのように変化してきた理由には、お客様の反応がきちんと返ってくるようになったことが大きく影響しているのではないでしょうか。「ホームパーティの手土産にいいようですよ」とか、「ワインに合うと言ってもらいました」なんて伝えると、職人の皆さんは照れくさそうに、とても喜んでくださっています。

パッケージにもこだわりがあります。あられのパッケージというと、どうしても銀の缶入りや、素っ気ないビニール袋が大半。そんなイメージを一掃しようと、フィンランド人デザイナーに力を借り、社員みんなで意見を出し合い、「ギフトとしても喜んでもらえるものに」と工夫をしています。

—今年はお米の販売も始められるとか?

お客様から「あられの原料になっているお米も食べたい」という声があり、販売することにしました。販売するのは、もち米「わたぼうし」と「元祖コシヒカリ」の2種。「わたぼうし」は、粘りや甘みが特徴で、おこわや赤飯などにするととても美味しい品種です。「元祖コシヒカリ」は、品種改良する前のコシヒカリで、モッチリしていて、大変甘みがあります。基本的には農家の方が自分達の為だけに作っているお米で、美味しいが故に虫がつきやすく、栽培の難しいお米だそうです。もともとたくさん栽培されているものではないので、販売自体も少量ですが、このお米の美味しさをぜひ味わっていただきたいですね。

—起業し、様々なことが形になりつつある今、今後は、どのようなことを考えておれますか?

一つは、生産者の思いをきちんと消費者の皆さんにお伝えしたいと思っています。まじめに丁寧に、手間ひまかけて作るお米や商品の美味しさを、もっとたくさんの方に知ってもらいたいですし、『あられにも感動を』という私達の考えに、多くの方に共感してもらえたらと思っています。

また、社名である「つ・い・つ・い」は、『ついつい手が伸びる美味しさ』であり、『ついつい皆様に微笑みが浮かぶように』という思いを込めています。年齢や国籍に関わらず、多くの方にこの思いが届くと良いですね。

次はマレーシアのクアラルンプールでの出店が決まっているのですが、海外にも少しずつ広めていけるよう頑張っていきたいと思っています。