日本の発酵食 -食卓を飾る“菌未来”-

第五回:納豆

2014/12/11

味噌、醤油、酢、みりん、納豆など、日本の食卓を支えてきた発酵食。

その土地に棲む微生物の働きによってうまみが生まれ、身体にもよい作用をもたらす発酵食は、先人が生み出した知恵であり、次世代につなげていきたい存在。

今の暮らしにも取り入れやすいレシピとともに発酵食の真髄に迫ります。

第5回は、手軽に食べられて栄養豊富な「納豆」です。

健康的な食生活に欠かせない納豆パワー

大地の恵みたっぷりの大豆を発酵させた納豆。日本人の食生活に馴染み深いものの、食べ方がワンパターンになりがちな納豆の魅力や楽しみ方を、料理研究家で日本発酵文化協会の代表講師でもある是友麻希さんに教えてもらった。

「実は納豆には2種類あって、いま一般的に納豆と呼ばれているのは糸引納豆。古くからある納豆は大豆に麹菌を繁殖させた塩辛納豆と呼ばれる、糸の引かない豆鼓のようなものでした。いつ頃から食べられていたかは定かではありませんが、平安時代の文献に塩辛納豆という名前が出ています」

それに対して江戸時代に主流になったのが、稲わらに生息していた納豆菌を大豆に繁殖させた糸引納豆。納豆菌は発酵することでネバネバとした糸を出すだけでなく、さまざまな酵素、ビタミン、アミノ酸を生み出すため、栄養素もたっぷり。そのうえ大豆自体も微生物によって分解されるため、ゆでた大豆を食べるよりも消化されやすい。

「骨の形成にかかわるビタミンKも多く含まれています。骨というとカルシウムというイメージが強いけれど、納豆も骨を強くする。そして納豆菌が出すナットウキナーゼは、血液をサラサラにしてくれる働きがあります。ビタミンB群も豊富で美肌に役立つなど、優れた健康食品なんです」

納豆を取り入れて料理上手に!

納豆をおいしく食べるにはいくつかのコツがあると是友さん。冷蔵庫から出してすぐ混ぜるのではなく、常温に戻して眠っている状態の納豆菌を起こすこと。そしてまずは何も入れずによく混ぜることが大切だ。

「20~30回混ぜると、ネバネバとした菌糸が出ておいしくなります。混ぜる時は一定方向に。逆方向に混ぜると、グルテンの構造が壊れて味が損なわれてしまいます」

また、納豆にはビタミンCが含まれていないため、ネギやブロッコリースプラウトなど、入れるものをひと工夫をするといい。

「納豆が他の発酵食品と違う点は、塩味がないということ。パックに醤油が付いていますが、塩や味噌、塩麹など、いろんな塩味で楽しむのもおすすめです。納豆のにおいが苦手な人は、しょうがやごま、にんにくといった別の香りを補うと風味豊かになって、おいしく食べられますよ」

和のイメージが強い納豆だが、オムレツやパスタ、麻婆豆腐など、和洋中さまざまな料理に利用できる点も魅力のひとつ。今回紹介してくれた納豆ドレッシングも是友さん一押しの食べ方だ。

「豆腐、うどん、そうめんにのせたり、スープに入れたりと応用が効く。保存もできるので、常備しておくと便利です」

そして、納豆は発酵によってうまみ成分が豊富に含まれているため、料理に加えると味がワンランクアップするという。

「料理が苦手な人って、味に何かが足りない、シャバシャバとしてしまうという2つの失敗をしがち。納豆はうまみがあるので、納豆をプラスするとコクが出るし、食材とからみ合ってシャバシャバも解消できます。さまざまな料理に取り入れてみてほしいです」

栄養もうまみも豊富な納豆を活用して、毎日の食卓をおいしく彩ってみてはいかが。