世界の発酵食品探訪

まるで納豆?お肉の代わりにも?インドネシア発祥の
「テンペ」は使い勝手抜群のスーパーフード!

2018/04/12

インドネシアで生まれた大豆発酵食品「テンペ」。お肉のような食べ応えがあることから、お肉の代わりとして世界中のベジタリアンやヘルシー志向の人に注目されています。日本でも、近年はナチュラルフードのお店などで並ぶようになりましたが、一般的にはまだなじみのない食材ではないでしょうか。

今回は、日本発酵文化協会の認定講師であり、天然酵母パンや発酵ベジ料理などを専門とした料理教室「Les Anges Blancs(レザンジュブラン)」を主宰する栄養士/フードコーディネーターの和田和歌子さんにテンペの特徴などについて解説いただきつつ、日常で気軽に作ることができるテンペを使ったレシピも紹介していただきました。

納豆ほどの香りはないため料理に取り入れやすい

テンペとは、大豆にテンペ菌をつけて発酵させた、インドネシアの伝統的な発酵食品です。テンペ菌はバナナやハイビスカスの葉に付着しているクモノスカビの一種。茹でた大豆をバナナの葉に包むとバナナの葉にあるテンペ菌の働きで発酵が進み、テンペが出来上がります。

「インドネシアでは宗教上、肉を食べない人が多く、その代わりにテンペを食べることが多いようです。レストランではサラダやメイン料理の付け合わせとして、そのままの形で食べることもあるんですよ」

発酵プロフェッショナルの和田和歌子さん。

日本では、大豆の発酵食品というと「納豆」が思い浮かびます。テンペも納豆に近いといわれますが、納豆ほどにおいや味が強くなく、料理にも取り入れやすいそうです。

テンペを見てみると、大豆の周りに白っぽい菌糸が見られますが、納豆のようなネバネバ感はほとんどありません。大豆の風味もありながら、ハムやベーコンなど燻製された肉にも似た、旨味が凝縮されたような味わいがありました。

栄養価も高く、女性には特におすすめ!

日本では、テンペは真空パックの状態で販売されていることが多いようです。

また、大豆の栄養価の高さにも注目です。たんぱく質やビタミン、食物繊維などが多く含まれ、栄養はもちろん、食べたときの満足感も大きいです。

「大豆に含まれるポリフェノールやイソフラボンは抗酸化作用があり、アンチエイジングにも良いともいわれているので、女性にとってはうれしいですよね。さらに、発酵によって酵素の力で分解されることで、より体内に吸収されやすくなるのもメリットです」

洋風でも和風でも相性抜群!
テンペを使ったオリジナルレシピ

テンペはどんな料理にも使いやすい食材ですが、実際にどう使えば…と思っている人も多いでしょう。そこで、和田さんにテンペを使ったオリジナルレシピをご紹介いただきました。

「テンペと春野菜の赤ワイン味噌炒め」

オリーブオイルや赤ワイン、タケノコのような春野菜も使って洋風に仕立てつつ、お味噌で旨味を出した一品。「本当にお肉が入っていないの?」というほどの食べ応えです!

  • 材料(2~3人分)
    テンペ50g
    スナップエンドウ3つ
    くるみ12g
    ブラックペッパーなど適量
    パセリ適量
    オリーブオイル少々
  • (a)
    オリーブオイル12g
    1g
    にんにく1/2片
    しいたけ大4個
    れんこん50g
    たけのこの水煮50g
    (b)
    赤ワイン30g
    12g
    味噌12g~
    パプリカ小1個
  • [作り方]
    1. れんこんは1cmほどの薄切り、しいたけは4等分、にんにくはつぶして芯を取る。テンペは、1cm角のさいの目に切り、パプリカは1.5cmほどの乱切りに。

    テンペはさいの目に切ります。

    2. 材料(a)をフライパンに入れて混ぜ合わせ、蓋をして蒸らし炒めにする。
    ※塩を入れて蒸らし炒めすることで野菜の水分が早く抜け、時短になるのでおすすめ。
    3. 約5分後、テンペを加えて混ぜる。
    4. 野菜に焼き色がついてきたら材料(b)を加え、蓋をして弱火にかける。
    5. 野菜を絡めながら炒め、赤ワインのアルコールが飛んだら、スナップエンドウと砕いたくるみを加えて混ぜる。最後に、オリーブオイルを少々回しかける。
    6. お皿に盛り付け、ブラックペッパーやパセリを散らす。

[テンペを調理するにあたってのポイント]
・テンペは細かく角切りにしたほうが、ほかの調味料と絡みやすい。
・にんにくやしょうがなど、香味野菜と炒めると豆臭さが抑えられる。
・砕いたくるみを混ぜることで、挽き肉っぽい食感に近付く。
・オイルをプラスするとツヤが出て、食べ応えも増す。

和田さんの料理教室でもこういったテンペのレシピを紹介し、生徒さんに好評だったそうです。

「一番気を付けたいのは、『薄味にしすぎないこと』です。テンペは味わいが淡白なので、お味噌や豆板醤を使うなどしてアクセントをつけないと、ぼんやりした味になってしまいます。女性は薄味でも満足できる方は多いと思いますが、いっしょに食べる家族が物足りなく感じてしまうかもしれません。健康にいいから食べるというよりは、テンペがおいしいから料理に取り入れた結果、体にも良かったというのが理想ですね」

テンペは、オーガニックショップを中心にネットなどでも購入できますので、比較的簡単に入手できます。日本産のテンペは本場インドネシアの物に比べて癖が少なく、日本人に使いやすくなっているそうです。ぜひ、日常にテンペを取り入れてみてください。

★おまけレシピ「テンペde肉ジャガ大根」

「テンペを使った和食のお料理もおいしいんですよ!」と和田さん。特別に和田さんの十八番レシピも紹介します!

  • [材料](2~3人分)
    つきこんにゃく120g※白滝でも可
    スナップエンドウ適量※インゲンでも可
    糸唐辛子適量
  • (a)
    テンペ70g
    ごま油16g
    にんにく1片
    しょうが6g~
    3g
    玉ねぎ120g
    じゃがいも240g※大根でもおいしい
    (b)
    塩麹20g
    醤油8g
    豆板醤6g~
    甘酒40g
  • [作り方]
    1. じゃがいもはよく洗い、一口大に切ってさっと水につけて水気を切る。にんにくはつぶして芯を取り、しょうがはおろしておく。テンペは1cm角で切る。
    2. フライパンに材料(a)を入れて中火にかけ、熱したら弱火にして蓋をし、蒸らし炒める。
    3. おいしそうに炒められたら材料(b)を加えて蓋をし、再び蒸らし炒める。
    4. つきこんにゃくはアク抜きをし、3cm程度にカットして入れる。
    5. 炊き上がったらスナップエンドウを加えて1分程度炒める。
    6. 必要であればさらに味を整え、5分程度蒸らす。
    7. 皿に盛り、糸唐辛子を散らす。

和田和歌子(わだわかこ)さん

和田和歌子(わだわかこ)さん

発酵プロフェッショナルとして日本発酵文化協会の専任講師を務めるほか、天然酵母パン/スイーツや発酵ベジ料理(ホリスティックフードセラピー)などの講義を行う「Les Anges Blancs(レザンジュブラン)」を主宰。がんばる女性の心と体を元気にする食、自分の手で作ることで感じられる創作の楽しさを伝えている。


Les Anges Blancsオフィシャルサイト