世界の発酵食品探訪

酵母の力で体の内側からきれいに!
イギリス発の発酵食品「マーマイト」の魅力

2019/07/10

ビールづくりの過程で出る酵母を主原料とした発酵食品「マーマイト」。発祥の地・イギリスのソウルフードといえる物で、古くから食べられていますが、日本ではあまりなじみのない食品でしょう。

そこで、日本発酵文化協会の認定講師で、料理教室「Les Anges Blancs(レザンジュブラン)」を主宰する栄養士/フードコーディネーターの和田和歌子さんに、マーマイトの特徴について教えていただきます。塩気の多いマーマイトを食べやすくアレンジしたレシピも紹介してもらいました!

マーマイトはイギリスの
朝の定番!

マーマイトの歴史は古く、起源は1680年よりも前、ビールが作られるようになったのと同時期といわれています。

「マーマイトの存在は知っていても、それが発酵食品だということを知らない人は多いのではないでしょうか。イギリスのマーマイトは、ビールづくりのときに出る酵母に塩を足し、味をマイルドにするために少し砂糖を入れて煮詰めて作ります。

オーストラリアにも『ベジマイト』という似た食品がありますが、こちらは砂糖ではなく野菜が入っています。どちらも主原料はビールを作るときの沈殿物なので、しぼりかすというと聞こえが悪いですが、日本酒づくりの際にできる酒粕と同じような物。そう聞くと、ちょっと親近感がわきますよね」

マーマイトといえば、焦げ茶色のドロッとした見た目と鼻をつくにおい、そして独特な味わいが特徴的。海外のお土産としてもらったことがある人もいるのでは?

「イギリスではトーストに塗ったり、スープや煮込み料理に加えたりして食べることが多いみたいです。体にいいからという理由で食べているのかと思いきや、現地の友人に聞いてみたところ、みんな『おいしいから食べている』と話していました」

とはいえ、マーマイトを食べ慣れない人にとっては、そのままだと若干の抵抗感があるかもしれません。和田さん曰く、「パンにマーマイトを塗り、チェダーチーズをのせてトーストすると、まろやかな味わいになって食べやすくなります」とのことでした。

健康的な代謝アップでエイジングケア!※1
マーマイトに期待できること
※1 今の健康や美しさを維持すること

もちろん、おいしいだけではありません。発酵食品であるマーマイトには、体に健康的で良い作用も期待できます。

栄養士/フードコーディネーターの和田和歌子さん。

また、代謝が促されることで、こんなうれしい作用もあるのだとか。

「健康的な代謝が良くなるということは、細胞の新陳代謝も活発になりますから、肌や髪質をサポートしてくれます。さらに、酵母が腸内で分解されると善玉菌を増やすオリゴ糖が作られるので、腸内環境を良くする作用も期待できますよ」

塩麹やオリーブオイルと混ぜて使うのが
マーマイトをおいしく食べるコツ

マーマイトの栄養を十分に発揮させるためには、「マーマイト単体ではなく、お料理に使うなど、別の食材といっしょに取り入れることが大切」という和田さん。独特の風味があるマーマイトを料理に使うには、ちょっとしたコツがあるそうです。

「マーマイトは塩分が強いほか、色も濃いため、一度にたくさんの量を使うのはおすすめできません。さらに、味も独特なので、塩麹といっしょに混ぜたり、オリーブオイルやガーリックオイルなど香りの強い物と合わせたりしたほうが食べやすくなります。

マーマイトを使うメリットは、少しの量でもコクが出ること。お味噌汁にちょっと加えたり、麻婆豆腐やジャージャー麺といった中華料理に、豆豉(とうち)の代わりにマーマイトを加えたりするのもおすすめです。このように、隠し味として使うことから始めると、無理なく楽しんでいただけると思います」

想像以上に使い勝手のいいマーマイト。ちなみに、主原料の基はビールですが、アルコール分はないので、お子さんでも安心して食べられますよ。まずは少量から試してみて、慣れてきたら少しずつ量を増やすなど、自分流にアレンジしてお楽しみください。

マーマイトを使った
アレンジレシピ

イギリスでのお土産で買ったり、知人からもらったりしたけれど、トーストに塗る以外にどう使えばいいかわからず、持て余してしまった…なんていう人もいるのでは?そこで、簡単に取り入れられる、マーマイトを使ったアレンジレシピを、和田さんに教えてもらいましょう!

マーマイトのタパス風ポテト

  • [材料]
  • じゃがいも300g
    長ねぎ2分の1本
    いんげんorスナップエンドウ6本
    パプリカ2分の1個
    にんにく1片
    オリーブオイル適宜
    マーマイト15g
    塩麹15g
    パルメザンチーズ適宜
    <飾り用>
    イタリアンパセリ,ディルなどのハーブ適宜
  • [作り方]
    1. じゃがいもは一口大に、長ねぎは2cmの長さに切る。にんにくはつぶして芯を取る。
    2. 蒸し器にじゃがいもと長ねぎを入れ、蓋をして蒸す。やわらかくなったら取り出す。
    3. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火にかける。香りが立ってきたら2のじゃがいもと長ねぎを入れる。
    4. フライパンに蓋をして加熱し、じゃがいもに軽く焼き色がつき始めたら時々混ぜる。
    5. マーマイトと塩麹、いんげん、パプリカを加えて混ぜ、3分ほど加熱する。パルメザンチーズで味を調える。
    6. 皿に盛り、お好みのハーブで飾り付ける。

「召し上がる際にマスタードを添えて、少しつけて食べてもおいしいですよ!」と和田さん。今回はいんげんとパプリカを彩り野菜として使用しましたが、ほかのお野菜でも良さそうです。

焼き野菜の
マーマイトマトソース添え

おまけとしてもう一品。焼き野菜を、マーマイトを使ったソースでいただく簡単レシピです。

  • [材料]
    パプリカ
    スナップエンドウ
    かぶ
    ズッキーニ
    かぼちゃ
    じゃがいも
    大根
    ブロッコリー
    …など、野菜はお好みで!
  • <マーマイトマトソース>
    マーマイト30g
    ホールトマト(缶)200g
    オリーブオイル30g
    はちみつ10g
    塩麹30g
    にんにく1片
    ガラムマサラor一味唐辛子少々
  • [作り方]
    1. にんにくをつぶして芯を取り、鍋にマーマイトマトソースの材料をすべて入れて火にかける。煮詰まってとろみが出ればOK。
    2. お好みの野菜を食べやすい大きさにカットし、フライパンで焼く。
    3. 皿に野菜を並べ、マーマイトマトソースを添える。

和田さん曰く、「焼いた野菜をマーマイトマトソースの鍋に入れ、3分ほど火にかけて絡めても◎」とのこと。焼き野菜のほかにも、焼いた肉や魚といっしょにいただいてもおいしそうです。

和田和歌子(わだわかこ)さん

和田和歌子(わだわかこ)さん

発酵プロフェッショナルとして日本発酵文化協会の専任講師を務めるほか、天然酵母パン/スイーツや発酵ベジ料理(ホリスティックフードセラピー)などの講義を行う「Les Anges Blancs(レザンジュブラン)」を主宰。がんばる女性の心と体を元気にする食、自分の手で作ることで感じられる創作の楽しさを伝えている。


Les Anges Blancsオフィシャルサイト