暮らしの中の、小さな知恵

お家ご飯がグレードアップ!
発酵調味料で簡単・時短の献立レシピ

2020/06/18

新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、健康的な免疫力を整えてくれる発酵食品に注目が集まっています。そのため、納豆やヨーグルトなど、単体で手軽に摂取できる発酵食品を食事にプラスしているという人も多いのではないでしょうか。でも、毎日では飽きてしまうし、できればメインのおかずにも上手に発酵食品を取り入れて、習慣にしたいものですよね。

そこで最近、発酵生活を送る人たちのあいだでトレンドになっているのが、あえたり、かけたり、漬け込んだりするだけで味が決まる「発酵調味料」です。自粛期間の料理疲れでストレスを感じている人や、これから発酵食品を身近に取り入れていきたいと考える人にも使いやすく、手軽でおいしい一品を仕上げることができます。

ここでは、厳選した有機素材を主原料とする「カネサオーガニック味噌工房」の発酵調味料を使った時短レシピを、料理家の風間章子先生に教えていただきました。

有機農家が手掛ける「発酵調味料」

カネサオーガニック味噌工房は、宮城県遠田郡で25年以上有機栽培に取り組む農家が手掛ける味噌屋です。9割以上の米や大豆を有機農法で作っており、2014年から糀や味噌のほかに、甘酒、塩麹などの日本の発酵食品を中心にオンライン販売も展開しています。
有機原料にこだわるのは、「食べる人にできる限り安全なものを届けたい」という思いと、「素材本来のおいしさを味わってほしい」という願いから。

カネサオーガニック味噌工房の発酵調味料は、左から「味噌炒めの素」「有機生塩糀」「旨糀」の3種類。

「お米や大豆の品質によって、製品の仕上がりは変わってきます。有機栽培の米や豆を使うと、エグみのない、すっきりした味わいになるんですよ」と、同社製造責任者の大内俊太朗さん。今回ご紹介するレシピに使った、「有機生塩糀」「旨糀(うまこうじ)」「味噌炒めの素」の3種の発酵調味料は、素材の味を引き出しつつ、アクセントを加えてくれる爽やかな風味が魅力です。

「手づくり、手わたし」という思いを大切にしているという、カネサオーガニック味噌工房の大内俊太朗さん。

では、さっそく発酵調味料の活用レシピについて、料理家の風間章子先生にご紹介いただきましょう。

有機生塩糀を使った「あさりと塩麹の豆乳スープ」

塩糀と聞いて、最初に思い浮かぶイメージは、肉や魚の漬け込みだれではないでしょうか。カネサオーガニック味噌工房の有機生塩糀は、漬け込みだけでなく即席漬物やピクルスの素としてそのまま使えるほか、スープや炒め物に使うと味がグッと締まるのが魅力。チャーハンの味つけも、有機生塩糀とにんにく、粗挽き黒コショウだけで完結します。

風間先生の一押しは、有機生塩糀を使った「あさりと塩糀の豆乳スープ」。塩糀の活用の幅がさらに広がります。

  • [材料](2人分)
    あさり150g
    しいたけ2枚
    にんじん3cm程度
    生姜薄切り3枚
    豆乳250cc
    150cc
    大さじ2
    有機生塩糀大さじ2
    コショウ少々
    小ネギ(あれば)少々
  • [作り方]
    1. あさりは塩抜きし、生姜は細切りに、しいたけとにんじんは薄切りにする。
    2. 鍋に「1」と水、酒を入れて蓋をして火にかける。
    3. あさりの口が開いたら、豆乳と有機生塩麹、コショウを入れて、豆乳が沸騰しない程度に温める(沸騰すると分離するので、沸騰させない)。
    4. 器に盛り、お好みで小ネギを散らして出来上がり。

「あさりから出る出汁と、有機生塩糀のマイルドな塩味と旨み、豆乳でコクのあるスープが簡単に出来上がります。ネギなどで緑を加えて、彩り豊かにどうぞ」(風間先生)

旨糀で作る「お刺身ユッケ丼」

有機米糀と国産丸大豆醤油を長時間発酵させて作った「旨糀」。こだわりの有機米を使った米糀の力で醤油のエグみが抜け、凝縮した旨みだけが残っています。粗糖(そとう)のやわらかな甘さに青唐辛子のピリッとした辛さが絶妙なバランスで、すぐに味が決まるので、料理を時短で仕上げたい日にぴったり。
マヨネーズに混ぜて照り焼き風味のディップとして野菜スティックにつけて食べたり、冷奴にかけたりするだけで、いつものおつまみが洗練した味に変化します。

この旨糀を使って風間先生が作るのは、「お刺身ユッケ丼」。あっという間にできて、大人も子供も大満足の丼ものです。

  • [材料](2人分)
    カツオ160g
    きゅうり2分の1本
  • (a)ユッケだれ
    旨糀大さじ1
    ごま油大さじ1
    おろしにんにく小さじ1
    おろし生姜小さじ1
    白米丼2膳分
    卵黄2個
    刻み海苔少々
    ごま少々
  • [作り方]
    1. カツオは細切りにし、きゅうりは千切りにする。
    2. (a)の材料を混ぜ合わせ、カツオを加えてさらに混ぜ合わせる。
    3. 丼に盛ったご飯に、千切りきゅうり、カツオユッケの順で盛る。
    4. 最後にユッケに卵黄を乗せ、刻み海苔とごまを散らせば出来上がり。

「火を使わずに作れるので、今日はコンロの前に立つのも嫌…という日にもおすすめです。ご飯が進む味つけで、食欲がない暑い日にもぴったりです」(風間先生)

味噌炒めの素で作る「蒸し鶏サラダ」

「味噌炒めの素」は「旨糀」と同様、1本で味が決まる調味料。米糀と国産丸大豆醤油を発酵させて醤油糀を作る過程で長期熟成味噌を加え、シンプルでコクのある味わいに仕上げています。
豚肉、キャベツ、ピーマンなどと炒め合わせれば、野菜炒めが和風ホイコーローにグレードアップ。冷めてもおいしく、お弁当のおかずとしても活躍します。原材料は米麹、醤油、粗糖、味噌、食塩、唐辛子のみで、小さなお子さんがいるご家庭や、添加物が気になる人も安心。田楽味噌のように、こんにゃくや大根にかけて食べるのもおすすめです。

風間先生考案の「蒸し鶏サラダ」は、味噌炒めの素を使ったコクのあるドレッシングがポイント。食欲を誘う味で、野菜も鶏肉もたくさん食べられます。

  • [材料](2人分)
    鶏もも肉1枚
    長ネギ 3分の1本
    ごま油大さじ3
    大さじ3
    おろし生姜小さじ1
    味噌炒めの素小さじ2
    お好みの野菜
  • (a)
    長ネギの青い部分1本分
    生姜の薄切り4、5枚
    小さじ2分の1
    大さじ3
  • [作り方]
    1. 鶏肉の余分な脂を切り落とし、半分の大きさに切る。野菜は食べやすい大きさに切る。
    2. 小さめのフライパンまたは鍋に、鶏肉と(a)、ひたひたの水を加え、蓋をして火にかけ、沸騰したら弱めの中火にして、10分間蒸して冷ましておく。
    3. 長ネギをみじん切りにして耐熱性の器に入れ、ごま油を加え600Wの電子レンジで30秒加熱する。
    4. 「3」に酢、おろし生姜、味噌炒めの素を加えて混ぜ合わせ、ネギだれドレッシングを作る。
    5. 鶏肉を食べやすい大きさに切り、お皿に切った野菜と共に盛りつけ、ドレッシングをかける。お好みで糸唐辛子を添えて出来上がり。

「長ネギ、ごま油を混ぜて加熱すると、ネギの辛味が抜けておいしいネギだれができます。そこに、味噌炒めの素を加えるとコクが出て、お肉にも野菜にも合う万能ドレッシングが完成!鶏肉を豚肉に変えて、冷しゃぶサラダにしてもおいしいですよ」(風間先生)

お家ご飯をプロ級の味へと簡単に変えてくれて、体に優しい発酵調味料。発酵食品を手軽に食事へと取り入れたい人や、今晩の献立に困ったら、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

カネサオーガニック味噌工房

URL:
https://www.kanesaorganic.jp/

有機米と有機大豆を主原料に、製造、販売する味噌屋。糀や味噌のほかに、甘酒、塩麹などの日本の発酵食品を中心にオンライン販売なども手掛ける。

料理家

風間章子(かざまあきこ)先生

料理家

風間章子(かざまあきこ)先生

イタリアンレストランで修業ののち、カフェやダイニングバーの立ち上げに携わる。雑誌や広告、ウェブなどのさまざまな媒体でメニュー提案、料理監修を手掛ける。キッチンスタジオ「人形町キッチン」の運営と、料理の楽しさを伝える料理教室を主宰。