発酵人

糀甘酒にも含まれるレジスタントプロテインとは?
尾関健二教授が解説

2021/08/19

糀甘酒にも含まれるレジスタントプロテインとは?尾関健二教授が解説
糀甘酒にも含まれるレジスタントプロテインとは?尾関健二教授が解説

近年のセルフメディケーション意識の高まりとともに、健康的な免疫力アップをめざして腸内環境を整える「腸活」や「発酵食品」が注目を集めるようになりました。腸内で健康維持につながる免疫細胞を刺激したり、腸内細菌のエサになって腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう:腸内にある細菌の状態がお花畑のように見えることから、腸内フローラとも呼ばれる)を活性化したりといった働きをする「レジスタントプロテイン」もそのひとつ。

糀甘酒からも手軽に摂取できるという、レジスタントプロテインの持つパワーについて、金沢工業大学の尾関健二(おぜきけんじ)教授にお話を伺いました。また、レジスタントプロテインを効率良く摂取できる糀甘酒を飲むタイミングや、相性のいい食材のほか、おすすめのレシピについてもご紹介します。

消化されないたんぱく質、
レジスタントプロテインとは?

近年注目を集めつつあるレジスタントプロテインとは、どのような物質なのでしょうか。

金沢工業大学バイオ・化学部応用バイオ学科の尾関健二教授。

「レジスタントプロテインは、胃で消化されにくい難消化性(レジスタント)のたんぱく質(プロテイン)です。通常、たんぱく質は胃で分解され、小腸でペプチドからアミノ酸になって吸収されますが、レジスタントプロテインは分解されずに小腸へ移動して、さまざまな効果を発揮することがわかっています。その主なメリットは3つあります」

・健康的にコレステロール値を下げる
レジスタントプロテインは、食べた物に含まれる脂質や油を小腸でキャッチし、包み込むようにして体外へと運び出す働きがあります。その結果、コレステロール値を低減したり、肥満を抑制したりする作用が期待できます。

・腸内環境を整える
腸内細菌を活性化するには、小腸で吸収されずに大腸まで到達する水溶性食物繊維を多くとることが重要です。レジスタントプロテインは、水溶性食物繊維と同様の働きをし、腸内環境を整える役割を担うことができます。腸内環境が改善されることによって、お通じも整うことが期待できます。

・健康につながる免疫力を整える
人間の免疫細胞の60~70%は、腸内に存在しています。レジスタントプロテインをとることで、パワーアップした乳酸菌が免疫細胞を刺激するため、正しく免疫力の向上が見込めます。

レジスタントプロテインは
どんな食品に含まれている?

さまざまな働きを期待できるレジスタントプロテインですが、どのような食品から摂取することができるのでしょうか。

「レジスタントプロテインが概念として認知されるようになったのは、2000年頃 です。蕎麦に含まれるたんぱく質の一部が難消化性で食物繊維と似た働きをすることがわかり、その作用に注目が集まりました」

その後、大豆や米、高野豆腐、酒粕などにもレジスタントプロテインが含まれることが確認されます。さらに、マルコメと東京農業大学短期大学部の舘博教授との共同研究 では、味噌にもレジスタントプロテインが存在することがわかっています。では、尾関教授が糀甘酒に着目した理由はどこにあったのでしょうか。

「これまで、食品廃棄物から、α-EG(αエチルDグルコシド)やレジスタントプロテインといった高付加価値素材を生み出す技術の研究や開発に取り組んできましたが、『飲む点滴』とも呼ばれる糀甘酒の健康効果に注目したんです。
経験的法則に則って、糀甘酒の作用とうたわれてきた肥満抑制、腸内環境やお通じを整えるといった期待できる効果が、レジスタントプロテインに認められる効果に共通していることから、市販甘酒のレジスタントプロテイン量を分析する実験を行いました。

その結果、調査した市販の甘酒のすべてで、レジスタントプロテインを検出。有効量も満たしていることが明らかになったのです。また、肌の水分量を上げるα-EG も甘酒に多く含まれていることから、美肌作用も見込めるのではないかと思います」

手軽に味わう!
糀甘酒の楽しみ方

レジスタントプロテインを手軽に摂取するなら、調理の手間なく飲める糀甘酒がおすすめです。米糀と発酵技術で造られたアルコール0%の「糀甘酒」なら、小さなお子さんから妊婦の方、年配の方まで、誰もが思い立ったときにレジスタントプロテインを補給することができます。
そこで、糀甘酒を飲むおすすめのタイミングについて尾関教授に伺いました。

「でんぷん質はブドウ糖に、たんぱく質はアミノ酸に、栄養素が最小単位まで分解されている糀甘酒は、消化酵素の助けがなくても、体に吸収できるのが魅力です。すぐにエネルギー源に変わって健康につながる代謝をアップさせてくれる働きがありますので、おすすめのタイミングは朝ですね。

糀甘酒には血圧に関わる成分ペプチドも含まれており、朝食後に1杯飲むことで血圧の上昇を抑制することも期待できるでしょう。また、油や脂質を吸着して排出する性質がありますので、揚げ物など脂っこい料理を多く食べた後に飲むのもいいですね」

糀甘酒だけでもレジスタントプロテインを摂取できますが、いっしょに食べることで相乗作用が生まれる食材はあるのでしょうか?

「糀甘酒といっしょに食べたい食材はヨーグルトです。ヨーグルトの善玉菌は、循環にかかわる生活習慣のケアにつながるほか、健康維持の免疫細胞にもスムーズに働きかけることが期待できます。この善玉菌は、糀甘酒を少しかけることで増加することがわかっています」

続いては、糀甘酒とヨーグルトを使った、マルコメのおすすめレシピを紹介しましょう。

すっきりとした味わいが癖になる!
「糀甘酒ヨーグルトドリンク」

ラッシー風にいただくことができる糀甘酒ヨーグルトドリンクは、米糀の甘みとヨーグルトが絶妙!レモンの酸味ですっきりさせ、まろやかな口当たりが癖になる、夏にぴったりのドリンクです。

糀甘酒ヨーグルトドリンク

夏のおやつにぴったり!
「糀甘酒ヨーグルトバーク」

ヨーグルトとフルーツをたっぷり使ったアイス「ヨーグルトバーク」。見た目も華やかなスイーツに糀甘酒をプラスすることで、濃厚ながらさっぱりとした一品に。暑い日のおやつにどうぞ。

糀甘酒ヨーグルトバーク

糀甘酒でレジスタントプロテイン食生活に取り入れよう

美と健康に有用な作用が期待できるレジスタントプロテイン。毎日1杯の糀甘酒で、必要量をしっかり摂取することができます。
加熱しても作用は失われないので、ご紹介したレシピなどでバリエーションを楽しみながら、毎日の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

尾関健二(おぜきけんじ)さん

尾関健二(おぜきけんじ)さん

尾関健二(おぜきけんじ)さん

金沢工業大学バイオ・化学部応用バイオ学科教授。大関株式会社入社後、研究開発室で麹菌 などに関するさまざまな研究などを経て、2005年より同大学教授に。麹菌を利用した日本酒の復権を願う一人。晩酌はもちろん日本酒派。

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