米と水、雪国の里・魚沼

手作りと同じ作り手の愛を。
しぜんを醸し、いのちを造る「魚沼醸造」

2022/12/19

手作りと同じ作り手の愛を。 しぜんを醸し、いのちを造る「魚沼醸造」
手作りと同じ作り手の愛を。 しぜんを醸し、いのちを造る「魚沼醸造」

80%以上を森林が占める自然豊かな土地、新潟県魚沼市。越後三山に囲まれた盆地に位置し、冬は3mを超える積雪がある日本有数の豪雪地帯でもあります。
2019年春、大地を潤し木々を芽吹かせる雪解け水とその土、さらには米づくりに最適な昼夜の温度差がある風土を求め、魚沼醸造はこの地にやってきました。

より良い米糀と糀甘酒を、もっと多くの人に――米糀や糀甘酒を、「人の手」と変わらぬ製法で作り続ける魚沼醸造。その生産工程とこだわりについて、魚沼醸造の堀内紗綾香(ほりうちさやか)がご案内します。

米、水、気温。
魚沼には米糀と糀甘酒のためのすべてがある

JR「浦佐駅」から魚野川を越え、水無川の手前まで来ると、右手の空にたなびく白い煙が見えてきます。強固な地盤と豊かな地下水を有する「水の郷工業団地」の一角にある、魚沼醸造で米を蒸す煙です。
世界最大級ともいえる米糀工場は、山々が息づき、川に水が流れるように、ごく自然なたたずまいで、しんと冷えた空気の中に立っています。

「ここには、おいしい米糀と糀甘酒を作るための材料が全部そろっているんです」。

米糀は、発酵のもと。山間部ならではの昼夜の寒暖差が生んだ最高級米・魚沼産コシヒカリが作られるこの土地は、米糀づくりにとってまたとない場所です。
糀甘酒には、おいしい水も欠かせません。米や野菜づくり、日本酒の仕込みなど古くから利用されてきた魚沼の湧き水は、越後三山を水源として湧き出す超軟水です。この水の存在も、魚沼醸造がこの地を選んだ理由のひとつでした。

標高1778m、秋の八海山。

そして、最後の決め手は、発酵文化が息づく地域であるということ。

厳しい冬を過ごす魚沼の人々にとって、食材を長期保存できる発酵は昔から身近なものです。うるち米と糀で作る「ねせ糀」を使った伝統の漬け物「きっこし漬け」をはじめ、糀や味噌などを使ったさまざまな発酵食があり、地元の味として今も地域の各家庭で親しまれています。

魚沼醸造株式会社・堀内紗綾香。

「自然との折り合いをつけながら生きる魚沼の人々の暮らしには、おいしい米糀と糀甘酒を作るためのヒントがたくさん眠っています。近代的な工場であっても、昔ながらの作り方を踏襲することで、受け継がれてきた伝統の味の担い手になれたら…と願っています」。

工場は素材も作り方も、
昔ながらの米糀づくりを再現

実際、魚沼醸造の米糀は、地域の人の手で作る製法を機械で再現しています。

<米糀ができるまでの工程>
1.浸漬
たっぷりの水に米を漬ける。魚沼醸造では、10時間以上魚沼の軟水に漬けています。

2.蒸米
浸漬し、水を含んだ米をじっくり蒸します。工場見学でも、窓ガラス越しに深く濃い米の香りが漂ってきます。

3.放冷
蒸し上がった米をよく冷まします。

4.種付け
米が適温まで冷めたら、麹菌をふりかけて種付けをします。

5.製麹(せいきく)
製麹は、麹菌を育てる工程です。魚沼醸造の工場内には、2日で約20tもの米糀を生産できる直径16mの「円盤型製麹装置」があり、ゆっくりと空気を含ませながら種付けされた蒸米を混ぜていきます。これによって麹菌が良く育ち、質の良い米糀ができます。そして、塩糀用、甘酒用など、用途別のタンクで保管されます。

人の手で作る場合、手で混ぜ、毛布でくるんでじんわりと発酵させる作業を、工場では機械が正確に再現します。米糀ができるまで、じっくり見守る地元のおばあちゃんたちのように、工場でもスタッフが徹底した温度管理に努め、タンクの中で息づく米糀を愛おしみながら育てます。
たとえ見た目が近代的でシステマティックであっても、原料となる魚沼の地の恵みと、人々の生活を支え続けてきた米糀への感謝の思いは変わらないのです。

工場では、こうして出来上がった米糀をもとに、塩糀やしょうゆ糀などの商品が作られていく様子を一般の方も見学することができます。最後の検品室では、商品をミスなくお客様のもとへ届けるために、多くのスタッフがきびきびと検品作業にいそしんでいました。

食べて、買って楽しめる「UONUMA KOJI SALON」

魚沼醸造には、事前予約が必要な工場見学と、予約不要で楽しめるエリアが用意されています。それが、「発酵」や「米糀」のおいしさや深さを堪能できる、「UONUMA KOJI SALON」です。

糀甘酒を使ったデザートが楽しめるカフェのほか、発酵に関する本を集めたライブラリー、商品を購入できるショップなどがそろっています。
サロンスペースは予約不要なので、稲刈りなどの農作業を終えた地域の人がお茶をしに訪れることもよくあるのだそう。地域とともにありたいと願う魚沼醸造にとって、憩いの場として活用してもらえることは理想的です。

カフェのおすすめは、工場直送の糀甘酒です。市販されている商品とは異なり、希釈されていない糀甘酒はとても濃厚で、米糀のつぶつぶ感が昔ながらの甘酒を彷彿とさせます。ほんのりと糀を感じる、深い甘みの糀甘酒ソフトクリームも味わっていただきたいところ。シフォンケーキ、アップルパイ、塩こうじパンなども用意されています。

「最後に立ち寄って、工場見学で見た製品を購入してくださる方が多い」というショップには、魚沼産コシヒカリを100%使った塩糀やしょうゆ糀など、魚沼醸造ならではの商品が並びます。
家族に、友人に、近所の人に…と、両手に余るほどの商品を抱えて帰っていく人がいるのも納得のラインアップです。

「世界トップクラスの生産設備を誇る魚沼醸造ですが、根底に流れる作り手の思いは、家庭で作る米糀や甘酒と同じです。これからも自然の恵みへの感謝を忘れず、“いのちを造る”ものづくりを続けていきます」

魚沼醸造株式会社

魚沼醸造株式会社

住所:
新潟県魚沼市十日町1791‒10
TEL:
0120-060-070(9:00~17:00、年末年始を除く)
営業時間:
10:00~16:00(1回20名までの完全予約制、
  10:30~/11:30~/13:00~/14:30~)
 ※見学はウェブ予約または予約専用ダイヤルから
  お申込みください。
10:00~16:00(1回20名までの完全予約制、10:30~/11:30~/13:00~/14:30~)
※見学はウェブ予約または予約専用ダイヤルからお申込みください。
定休日:
水曜、年末年始
URL:
https://www.uonuma-jozo.co.jp/index.html

「米と水、雪国の里・魚沼」の他の記事を読む

To Top

このサイトについて

https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/
お気に入りに登録しました