手仕事カレンダー

vol.7さまざまな発酵食品を毎日、少しずつ。
簡単に体が整う、沼津りえさんの「発酵小鍋」

2023/10/12

vol.7さまざまな発酵食品を毎日、少しずつ。簡単に体が整う、沼津りえさんの「発酵小鍋」
vol.7さまざまな発酵食品を毎日、少しずつ。簡単に体が整う、沼津りえさんの「発酵小鍋」

秋は、「食」での体作りを特に意識したい季節。体の不調が起こりやすい冬に向けて、旬の食材と発酵食品をうまく取り入れながら、体を整えていきたいものです。

今回、料理家・管理栄養士の沼津りえ(ぬまづりえ)さんが、提案してくれたのが、「発酵小鍋」。一人用の小鍋で、手軽においしく旬の食材と発酵食品がとれ、他にもいいところがいっぱい。沼津さんの故郷、熊本でおなじみの発酵調味料「赤酒」についても教えてもらいました。

発酵食品をまんべんなく、
毎日少しずつとる習慣を

「管理栄養士の目線で考えると、今から寒い時季に備えて、栄養のバランスがとれた食事を心がけて、免疫力を高めることをおすすめしたいです」と沼津さん。

栄養価の高い旬の食材に加えて、鍵となるのが発酵食品だといいます。
「発酵菌もそれぞれ違えば、他に含まれる栄養素も違います。同じ発酵食品ばかりではなく、種類を変えて、少しずつでいいので毎日、毎食とるようにしたいですね」

味噌やチーズ、キムチ、納豆など、冷蔵庫に今ある発酵食品から気軽に始めてみましょう。「アンチョビや粒マスタードなど、普段から食べているものが、実は発酵食品だと知らないものもまだまだあるはず。発酵食品には旨味を引き出す力があるので、他の調味料をあれこれ加えなくても、シンプルにおいしく調味できるのもいいところです。旬の食材に旨味足しとして組み合わせる習慣が身につけば、健康的な食生活が自然とおくれるようになりますよ」

栄養価が高く、簡単、便利、
三拍子そろった発酵小鍋

発酵食品をとる習慣づけのために沼津さんがすすめるのは、一人用の小鍋で作る具だくさんの「発酵小鍋」。切った具材と調味料を小鍋に入れて、火にかけるだけなので、忙しい日でもパッと作れます。旬の野菜に肉などのたんぱく質、旨味の詰まった発酵食品を盛り込めば、ひと鍋で栄養も味わいも満点。

「しかも、家族が食卓にそろわない日に、材料をすべてセットした小鍋を冷蔵庫に入れておけば、好きなタイミングで加熱して食べられるというメリットも。我が家でも、大学生の子どもたちによく用意します。電子レンジでチンして食べさせるのは、ちょっと味けないですが、小鍋なら熱々のおいしさと愛が伝えられますよね(笑)」

大鍋と比べて小鍋なら、家族一人ひとりの好みに合った具材選びや味つけができるのも、魅力。「キムチや豆乳と味噌、酒粕など定番の発酵鍋はもちろんのこと、小鍋なら自分なりのアレンジも楽しみやすいですよ」

今回は、秋の味覚・きのこと発酵食品のチーズ、白ワインを使った、チーズフォンデュ風鍋と、根菜の甘みと豚肉と塩糀の旨味を活かしたポトフ風鍋を紹介します。

「きのこたっぷりチーズフォンデュ鍋」のレシピ

  • [材料](直径15㎝・深さ5㎝の小鍋1個分)
    好みのきのこ200g (マッシュルーム、ブラウンマッシュルーム、エリンギ、えのきだけ、しめじなど)
    溶けるチーズ100g (グリエール、エメンタール、ゴーダ、モッツアレラチーズなど。組み合わせても可)
    白ワイン100㎖
    少々
    あらびき黒こしょう適量

きのこに加え、チーズと白ワインの2つの発酵食品の旨味をいかすので、味つけは、塩、こしょうだけで十分。
食物繊維たっぷりのきのこは、ビタミンDも豊富。チーズでカルシウムも補えます。
チーズは、ピザ用チーズなどで代用しても。

  • [作り方]
    1.きのこは食べやすい大きさに切る。チーズは手で小さくちぎる。

    2.小鍋に①を入れ、塩、こしょうを振る。白ワインをまわしかけ、ふたをする。

    鍋の水分は白ワインだけ。ここまで終えたら、すぐに加熱調理せず、冷蔵庫に入れておいてもOK。

    3.②を火にかけ、沸騰したら中弱火にし、チーズがとけてきのこに火が通るまで煮る。

    熱々、とろとろのチーズにきのこをからめて。チーズが固まってきたら、白ワインを少し加えて加熱し直しても。

「豚肉と根菜の塩糀ポトフ鍋」のレシピ

  • [材料](直径15㎝・深さ5㎝の小鍋1個分)
    豚肩ロースかたまり肉120g (またはとんかつ用肉)
    塩糀小さじ2
    大根80g
    ごぼう、ねぎ各50g
    にんじん、れんこん各30g
    粒マスタード適量
    200㎖

調味は、塩糀だけ。ポトフによく合う発酵食品の粒マスタードも添えて。豚肉と根菜は小さめに切り、
火の通りをよくする。根菜には体を温めるうれしい効果が。

  • [作り方]

    1.豚肉は一口大に切り、塩糀をまぶす。

    豚肉に塩糀全量まぶすことで味がしみ、肉がやわらかくなる効果が。

    2.大根は5㎜厚さのいちょう切りに、れんこんは5㎜厚さの半月切りにする。ねぎは4〜5㎝長さに切る。ごぼう、にんじんは乱切りにする。

    3.小鍋に①、②を入れ、水200㎖を加え、ふたをする。

    小鍋に材料をすべて入れた状態で、すぐに加熱調理せずに冷蔵庫に入れておいてもOK。

    4.③を火にかけ沸騰したら中弱火にし、具材に火が通るまで15〜20分煮込む。

    塩糀だけのシンプルな調味で、根菜の甘みがじんわり感じられるポトフ鍋。
    食べている途中に粒マスタードをとき入れても。

小鍋だから楽しめる、
味変&締めのアイデア

鍋といえば、食材や調味料を足して味の方向性を変えて、さらに楽しみたいところ。
「味変したいときには、発酵食品をプラスしてみたらどうでしょうか。たとえば、チーズフォンデュ鍋なら、キムチと豆板醤、味噌、豆板醤、柚子こしょうなど、いろいろ合いますよ。思いついたら試してみればいいですし、子どもといっしょに考えると食への興味を育めそうですよね」

チーズフォンデュ鍋にキムチをオン。チーズとキムチがよく合い、あっという間に洋風から韓国風へ味変。

締めには、ごはんや麺をプラスすれば、炭水化物もとれて満足感もアップ。
「鍋の汁にはすべての栄養がとけこんでいますから、締めまで食べることで余すことなく、しっかりとれるよさもあります」

ポトフ鍋に発芽玄米を加えて、リゾット風に。汁を最後の一滴まで、しっかりとることができる。

上品なみりんのような味わいの、熊本の料理酒「赤酒」

「調味料は、シンプルな材料できちんと発酵させているものに惹かれる」という沼津さん。なかでも故郷・熊本の伝統的な料理酒「赤酒」は、今でも料理に欠かせない存在だといいます。

「赤酒」は独自の灰持法という伝統製法で作られます。原料となる米を発酵させて「もろみ」を作る工程までは清酒と同じ。そこに、「赤酒」は木灰を入れるのです。灰によって酒では珍しい微アルカリ性になり、保存性が高まります。熊本では昔から、正月のおとそや御神酒として使われているそうです。

もろみのアルコール発酵と同時に糖化発酵も行われるので、甘味と旨味が一体に。「熊本の家庭ではみりんの代わりに使いますが、母の味といえば、赤酒入りのチャーハン。ちょっと加えるだけで、ごはんが驚くほどパラパラになるんです。少し甘みのあるチャーハンは、私も受け継いでいます」

微アルカリ性で赤みのある色の、瑞鷹(ずいよう)の「東肥赤酒(料理用)」

沼津りえ(ぬまづ・りえ)さん

料理家・管理栄養士

沼津りえ(ぬまづ・りえ)さん

料理家・管理栄養士

沼津りえ(ぬまづ・りえ)さん

料理家、管理栄養士、調理師。大手食品メーカーで管理栄養士として従事したのち、製菓・製パン専門学校で学び、レストラン勤務を経て、独立し、料理教室「COOK会」を主宰。管理栄養士としての栄養を考え、かつ、作る人のことを考えた、アイデアあふれるレシピが人気。企業向けのレシピ開発などを手掛けるほか、雑誌や書籍などで活躍中。著書に『米粉があれば! パンもおかずもおやつも極上』、『野菜まるごと冷凍レシピ』(ともに主婦の友社)など。
http://riecookcookcook.jp/

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