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発酵を訪ねる
大阪のデパ地下で出合える!
発酵食品で“おいしく整う”惣菜専門店
2025/09/25
発酵を訪ねる
2025/09/25
“食の阪神“と名高い阪神梅田本店地下1階「阪神食品館」にある、彩り豊かなおかずが並び、ひときわ目を引くおしゃれなデリ。こちらは、マルコメが運営する、発酵をテーマにした惣菜専門店。おいしく食べて体も整う「発酵DELICATESSEN」にお邪魔し、マルコメ株式会社マーケティング部デリカ事業課の大橋加奈子さんにお話を伺いました。
この日、開店と同時にショーケースに並んだ惣菜は、全部で約20品。 主菜は肉や魚介などがバランスよく、調理法もさまざまです。副菜は生野菜を中心としたサラダ3種類に、野菜がたっぷり食べられる焼き浸しやナムル、キャロットラペ、ポテトサラダといったおなじみもそろい、どれもおいしそうで見ているだけでワクワクするラインアップです。
どの惣菜にも発酵食品が使われていて、発酵食品と食材の組み合わせが絶妙。専門店ならではのアイディアが光ります。
「発酵DELICATESSENは発酵をテーマに、“おいしく整う”ご飯がある、誰もが気軽に立ち寄れる、街の台所のようなお店を目指しています。発酵食品をより身近に感じてもらえるよう、マルコメが創業時から培ってきた発酵技術で、和洋中、さまざまなジャンルの惣菜をご提供しています」と大橋さん。
左 惣菜は主に量り売り。料理によっては1枚や1カット単位で販売するものも。
右 定番メニューに加え、季節限定メニュー、スイーツなどが並ぶ。テイクアウト用のお弁当も人気。
使用する発酵食品もバリエーション豊かです。味噌や生塩糀だけでなく、糀甘酒や甘こうじ、ぬかなど多種多様な発酵食品を取り入れています。家庭では唐揚げの下味に使うことが多い塩糀も、いろいろな使い方があることに驚かされます。
「確かに、塩糀は漬け込みに、味噌はみそ汁に使うというイメージが定着していますね。お店では生塩糀をドレッシングに使ったり、味噌をスイーツに使ったりと、あえてちょっと違う使い方もご提案しています。発酵DELICATESSENの惣菜をきっかけに、発酵食品の使方が広がればうれしいです」
左 発酵DELICATESSENは、2022年4月にマルコメ初の惣菜店としてオープン。
右 メニュープレートには使用している発酵食品などのマークを表示している。
ところで、マルコメがプロデュースするお店と聞いていたのですが、どこにもマルコメの文字が見当たりません。
「そうなんです。マルコメというと味噌の印象が強いと思いますが、実は味噌以外にも生塩糀や生しょうゆ糀、砂糖代わりに使える甘こうじや糀みつといった糀由来の発酵甘味料に、糀甘酒や発酵ぬかどこなど、発酵食品を数多く扱っています。発酵DELICATESSENの惣菜を通して、マルコメ商品や発酵食品が持つおいしさ、奥深さ、面白さを広く知ってもらうことが目的。そのためには「マルコメ」という企業色を出さずとも、お客様に「おいしい!」と実感してもらうのが一番です。発酵食品への関心が高まり『家でもつくりたい』と思う方が増えれば、商品を手にする機会も生まれると思うので、おいしさが伝われば十分です」
魅力的な惣菜がたくさんあって、どれも気になりますが、特に人気が高いものは何ですか?
「一番人気は『ケールとキヌアの味噌チーズサラダ』です。味噌は『料亭の味 フリーズドライつぶみそ』を使用。味噌とチーズ、発酵食品のダブル使いで、ケールやトレビスの苦みがマスキングされて食べやすくなっています。スーパーフードのケールとキヌアに心惹かれて購入し、食べてみたら味にハマってリピーターになったお客様も。
「ケールとキヌアの味噌チーズサラダ」は特にファンが多く、家庭で簡単に再現できるサラダの素が商品化されている。
マルコメのオンラインショップで購入可能。
『ぬか漬けポテトサラダ』も根強い人気です。じゃがいも、きゅうり、にんじんを米ぬかに漬け、粒マスタード風味の糀ドレッシングであえた、マヨネーズを使わないポテトサラダです。季節に合わせてさまざまなアレンジを展開している『塩糀チキン』は、シーズンごとに楽しみにされているお客様が多いです。たとえば、これまでにはトマト味噌、ゆずと糀マスタード、レモンと糀みつのジンジャーソースなどが登場しています」
塩糀チキンは糀のチカラでしっとりやわらか。ボリュームもあってメインおかずにぴったりで、人気が高いこともうなづけます。お店に来るたびにいろいろな味に出合えることもうれしい。
左 「ぬか漬けポテトサラダ」には、「プラス糀 発酵ぬかどこ」と「賛否両論 糀ドレッシング」を使用。
家でつくってみたい方は、インスタグラムのリールをチェック!
右 取材時に店頭に並んでいた塩糀チキンは、「塩糀チキンのロースト 山椒と糀美人みそ」。
さわやかな香りと味噌のコクでご飯がすすむ味。
「メニュー開発では、2つの『飽きない』を大事にしています。1つは、毎日食べても飽きない味。そしてもう1つは、いつ来ても飽きないメニュー展開です。定番メニューのアレンジは期間限定。旬の食材や季節ごとにマッチする味つけを意識し、試行錯誤を重ねています」
おいしそうなおかずがいっぱいで、選びきれない。そんな人にはお弁当もおすすめです。発酵DELICATESSENの人気おかずを主菜・副菜バランスよく詰め合わせてあり、とてもおトク。阪神梅田本店のデパ地下という場所柄、甲子園で野球を観戦する際に購入するお客さんも多いそう。
せっかくなのでお弁当を購入し、屋上庭園で試食すると、塩糀チキンは冷めていてもやわらか&ジューシー。生塩糀が肉の旨みをしっかり引き出しています。野菜のおかずは少量ずついろいろ楽しめて彩り豊か。濃すぎないやさしい味わいで、まさしく「毎日食べても飽きない味」。
お弁当は2種類。左は「塩糀チキンと玄米の発酵サラダボウル」。
右は「塩糀からあげの発酵弁当」。米糀の発酵技術から生まれた「米糀ミルク」はクセがなく、ほのかな甘みが特徴で、お弁当にもぴったり。
阪神梅田本店「阪神食品館」の惣菜売り場には毎月のテーマがあり、「イチオシデリ!」として、それぞれの店舗で新メニューを展開しています。ちなみに7月は「涼味」がテーマで、発酵DELICATESSENのメニューは「大豆ミートと香味野菜の発酵ナッツサラダ」。こちらは1カ月の期間限定メニューでしたが、他にも大豆のお肉を使ったメニューは常時数品あるそう。
「大豆をもっと手軽においしく」という思いから、マルコメが「ダイズラボ」というブランドを立ち上げ、大豆のお肉を商品化したのが2015年のこと。健康意識の高まり、将来的な食肉の供給不足の問題などもあり、大豆のお肉はヴィーガンやベジタリアンだけでなく、一般の消費者の認知度も高くなっています。
「糖質オフやグルテンフリー、たんぱく質量を意識するなど、食のスタイルも多様性の時代です。大豆のお肉の食感はかなりお肉に近く、高たんぱく・低脂質でカロリーも控えめ。そして食物繊維も豊富で、いいこと尽くしです。植物性フードのニーズに対応しつつ、これまで大豆のお肉を食べたことがない方にも、おいしさを知ってもらえるきっかけになればと思い、メニューをそろえています」と大橋さん。
イチオシデリ!のテーマは食材のこともあれば、味わいのことも。
ちなみに8月は「ホットスパイス」、9月は「あげもん」。
スイーツも発見! 甘いものは食べたいけれど、なるべく罪悪感を抱かずに楽しみたい。そんなわがままも叶えてくれます。
「おすすめは、大豆粉を使ったグルテンフリーの『糀キャロットケーキ』です。フロスティングには大豆のクリームチーズ、米と米糀を原料とする発酵甘味料の『糀みつ』を使用しています。大豆粉特有のモソモソ感はなく、しっとりした生地でやさしい甘さが特徴です。SNSにアップしてくれる方が多く、リピーターも増加中。また、『米ぬかバスクチーズケーキ』も人気が高いです。こちらは甘じょっぱくて、ワインに合うおつまみ感覚の一品で、男性のお客様もよく購入されます」
「糀キャロットケーキ」はレーズンとくるみ入り。フロスティングに使用している「糀みつ」は店頭で購入できる。
発酵DELICATESSENは2022年にオープン。JR大阪駅、阪神・阪急線の大阪梅田駅からも徒歩すぐで、幅広い世代のお客さんが来店します。リピーターも着実に増え、店頭で接客しているとうれしい気づきもあるそう。
「いつも決まった惣菜を購入するリピーターのお客様が、新しい味にチャレンジする瞬間に立ち合えたときは、うれしくなりますね。食べたことがない商品を買ってみようと思われるのは、お店の味が信頼されているということ。『どの惣菜もきっとおいしいはず』、そう思ってもらえていると。
また、出張で大阪に来るたびに『うちの近くにもこういうお店がほしい!』と足を運んでくれるお客様も。日々の会話の中から、私たちが目指す『気軽に立ち寄れる街の台所』としてお客様に寄り添えていると感じる瞬間は、スタッフの励みになります。
食事は生活に欠かせないもの。だからこそ、毎日の食事はおいしくて体を整えるものであってほしい。日本の発酵食品と長年向き合ってきたマルコメの知見を生かし、これからも発酵食品のおいしさや可能性をお客様に伝えていきたいと思っています」
大橋さんは、福岡にあるb!olala店も担当。管理栄養士の資格を持ち、メニュー開発から店舗運営、接客まで
幅広く携わる。
※記事内で紹介している商品は、店舗で取り扱いのないこともあります。
阪神梅田本店地下1階「阪神食品館」内
*定休日は阪神梅田本店に準ずる
https://www.instagram.com/hakkoudelicatessen/