手仕事カレンダー
Vol.19 春野菜をおいしく楽しむ。いこまゆきこさんの
「にんじんの白味噌ドレッシング」
2026/03/26
手仕事カレンダー
2026/03/26
春は、みずみずしい野菜の甘みを、サラダでフレッシュに楽しみたい。そんな時に、野菜それぞれの味わいをぐんと引き立ててくれる、まろやかでおいしいドレッシングがあれば、食が進みますよね。
日本発酵文化協会の上級認定講師の経験もある、料理家のいこまゆきこさんがおすすめするのは、白味噌。今回は、春のやわらかなにんじんと白味噌を合わせた“食べる”ドレッシング、「にんじんの白味噌ドレッシング」の作り方を、プロセス写真で解説します。「大好き!」という発酵食品・チーズの楽しみ方も必読です。
特に関西で親しまれている白味噌。一般的な米味噌に比べて米糀の量が多く、塩分濃度は低い、短期間で熟成させた、淡い色と甘みが特徴です。大阪出身のいこまさんにとっても、料理をするうえで欠かせない、定番の発酵食品だそうです。
「上品な甘みとコクは、和風はもちろん、洋風のレシピにもよく合います。クリーミーで乳製品と相性がいいので、生クリームと合わせてグラタンにしたり、パスタにしたり……。和風であれば、山椒を加えて、しいたけの傘に詰めて焼いてもすごくおいしいんですよ」
白味噌のよさをもっと伝えていきたい、と言います。
「最近は関西でも、使うのはお正月のお雑煮くらいという話をよく聞きます。塩分濃度が低い分、一般的な米味噌よりも風味が変わりやすく、賞味期限が短いのも理由の一つでしょうか。でも、冷凍すれば1年は持ちますし、固まらずに冷凍室から取り出してすぐに使えるので、気軽に試してみてほしいですね」

「白味噌を手軽に使えるレシピがありますよ」と教えてくれたのが、料理教室でも好評で作り続けているという「にんじんの白味噌ドレッシング」です。
「甘みのあるにんじんに白味噌の旨みとコクが加わることで、まろやかな仕上がりになります。さらにとろみも加わって、ドレッシングが具材に絡みやすくなるのもいいんです」
やさしい味わいなのに旨みが濃く、さまざまな野菜のおいしさを引き立ててくれます。野菜が苦手な子どもでも、これがあれば食べやすくなりそう。
「オレンジ色もきれいでしょう? 春の食卓をこのドレッシングで楽しんでください」

ミキサーで撹拌したにんじんに、白味噌のとろみが加わって、ぽってりとした質感に。
オイルや酢を加えて、のばして使っても。


シンプルな材料なので、素材の味によっても仕上がりの味わいに違いが出るそう。いこまさんが愛用する、
京都・飯尾醸造の「富士酢」は酸味が穏やかで、やさしい味に。
白味噌は同じく京都のもので、旨みの強さが特徴の『加藤みそ 白みそ』。
1.にんじんは粗く切り、ミキサー(またはフードプロセッサー)に入れる。

ミキサーにかけやすい大きさに切ればよい。
2.白味噌、塩、酢、オリーブオイルを加える。

白味噌は全体の味をつなぐ、まとめ役に。たっぷり加えても味がくどくならない。
3.にんじんの粒が少し残る程度まで撹拌する。


撹拌の度合いはお好みで。「にんじんの粒々とした食感を残すと、野菜などにかけたときに素材に絡みやすく、“食べている”感覚が味わえて、おすすめです」
まろやかな旨みと甘みが魅力的な「にんじんの白味噌ドレッシング」は、野菜サラダのドレッシング以外にも活用できます。
「鶏むね肉や鶏ささ身、白身魚など淡白な味の食材によく合います。えびやいかなどにも相性抜群です。鮮やかなオレンジ色が食卓を華やかにしてくれますし、簡単に一品が完成するので、忙しい日に冷蔵庫にあると助かります。また、水きりした豆腐やゆでたじゃがいもなどに添えたり絡めたりしてもおいしいですよ」

ゆでた鶏むね肉にたっぷりとかけるだけで、簡単に野菜の補給もでき、華やかなメインおかずに。
子どものころ食べた6ピースのプロセスチーズから始まり、大のチーズ好きだという、いこまさん。さまざまなタイプのチーズを、いろいろな場面と食べ方で楽しんでいます。
「ワインのおつまみにはもってこいですが、小腹が空いたときのおやつにもよく食べます。たんぱく質の補給も手軽にできるし、お菓子を食べるよりもいいんじゃないかと思って」
全国の食材の生産者を実際に訪ねて、話を聞き、交流を重ねるいこまさんが信頼を寄せているのが、北海道・喜茂別(きもべつ)の「チーズ工房タカラ」のチーズ職人、斉藤愛三(さいとうなるみつ)さん。工房に隣接する牧場で、酪農家の兄夫婦が育てる放牧牛のミルクを使い、塩と天然の乳酸菌とともに手間をかけて作られるチーズは格別の味わい。国内外のチーズコンテストでも数々の賞を取っています。
「豊かな土地に根ざして、手間を惜しまずに作り続ける斉藤さんのチーズは、そこにしかないおいしさ。お人柄も素敵で、仕事やご家族、自然に対する姿勢や考えにも共感しています」

チーズ工房タカラのハードタイプ、「タカラのタカラ」。ゆっくりと発酵・熟成させ、蔵出しは最低8カ月後。
「ジャパンチーズアワード」2018、2024でグランプリ、「ワールドチーズアワード」2025で金賞を受賞。
フレッシュなソフトタイプは、そのまま食べるだけでなく、季節のフルーツと合わせるのがお気に入りだそう。
「フレッシュチーズのさわやかさとミルクの味わいが、果物の甘みと酸味にぴったり。ハーブやスパイス、オイルなどを合わせれば、大人の味わいが楽しめます」

新鮮なミルクそのもののような味わいの「タカラのヤッコ」にフルーツを合わせて。
(左)はっさくとディル、(右)いちごと黒こしょう
色とりどりの野菜が食卓をにぎわせる春。白味噌のやさしい甘みや、チーズの豊かなコクを、もっと気軽に楽しんでみませんか。
料理家
料理家
エコール辻 東京を卒業後、料理研究家のアシスタントを経て独立し、2002年より「いこまゆきこ お料理教室」を主宰。素材を生かした、シンプルだけれどひとひねりあるレシピを提案。日本発酵文化協会で上級認定講師を務めた経験や、発酵マイスター、発酵プロフェッショナル、サケディプロマ、サケエキスパート、漢方スタイリストの資格を持ち、各分野への造詣も深い。全国各地の食材や酒などの生産者を訪ねることをライフワークにしている。著書に『おうちで喜ばれる にほんのおかず』(SBクリエイティブ)がある。