私らしく、美しく(医食同源)。

食生活を整えるには

2014/09/12

編集担当ノブエとミヨコが、「食」「習慣」「日本」「伝統的な暮らし」などをテーマに、専門家を訪ねます。

ミヨコ:暑くなったり、涼しくなったり、気候が不安定ね。

ノブエ:本当に。私は食欲が落ちてしまったみたい。

ミヨコ:今日は改めて、日常の食生活について、先生に聞いてみましょう。

食生活と時間の使い方

一井先生:今日は食生活のお話なのだけれど、食生活を考えるということは、日常の暮らし方全体を見直す必要があると私は思っています。現代日本人がこれだけ生活習慣病を多発するようになったのは、戦後のこと。戦後何がおこったかというと、人々の暮らしが非常に豊かになったんですよね。それに伴って、時間の使い方が変わりました。

ミヨコ:時間の使い方ですか。

一井先生:昔は暗くなったらお父さんが帰ってきて、一家で食卓を囲む、という暮らしをしていました。でも高度成長期となり、お父さんは残業が当たり前。家族全員で食事をすることが、難しい暮らしになった家族が多いのではないでしょうか。

ノブエ:そうですね。

一井先生:お母さんも忙しいから、家事にかける時間もできるだけ減らしていこうということに。掃除機に、洗濯機、とても便利な時代になりました。電子レンジが普及して、出来合いのものを買ってきて温めるだけというお料理であっても、ある程度食卓の体裁を整えることができるようになったわけです。コンビニエンスストアの普及も70年代ですね。

ノブエ:みんなが忙しくなったということなんでしょうね。

一井先生:そうですね。だから、便利になって、みんな喜んだし、助かったと思います。でも食生活、食文化という意味ではマイナスの面があるでしょうね。忙しくなったから、食にかける時間を少なくしたい。だから簡単に食べられるものを選ぶ。ゆっくりと噛まず、パッと食べてもおいしいと感じる、味の強いものが選ばれるようになります。ファストフードがその代表ですね。

ノブエ:なるほど。時間の使い方と、求められる味には関係があるのですね。

一井先生:そう思います。でも日常の食生活を整えたい、体の調子を整えたいと思うのであれば、そういう時間の使い方を見直すよりほかないのではないでしょうか。

質として贅沢な食

一井先生:では、手始めに何をすればいいのか。私は、簡易にすませていることを、少し昔に戻してはどうかと思っています。昔の日本人の食文化や、和食中心の食生活です。

ミヨコ:でも和食をちゃんとつくるって大変そうですね……。

一井先生:和食といっても、会席料理のようなごちそうをつくろうって話ではないんです。電子レンジでチンよりは、手間はかかるかもしれません。でもかつての、量としては贅沢ではなかったけれど、質としては非常に贅沢だった時代に戻りましょうということなんですよ。

ミヨコ:質としての贅沢、ですか。なるほど。

一井先生:先日、大河ドラマを見ていたら、戦のために夜通し走らなくてはならない武士のために、農村の皆さんに食料の補給をお願いするシーンが出てきました。そこで用意されたのが、水と大きな玄米おにぎりとお味噌だったんです。それを観ながら、理にかなっているなぁと思いました。

ミヨコ:やはり、そうなんですね。

一井先生:玄米にはビタミン、ミネラル、糖質が含まれ、発酵食である味噌は、エネルギーになり、腸の調子を整え、免疫力を高めます。もちろん塩分の補給にもなる。そしてたっぷりのお水を飲む。日本人の食の原点だなあと改めて思いました。

ミヨコ:日本人の食の原点。

一井先生:そうですね。日本という土地に住む、日本人の原点ですね。糀など日本の菌を海外に持って行っても、うまく発酵しないという話があるように、日本の土地に根付いた食文化があり、その食文化に長く順応してきた日本人だから、和食に戻りましょうということなんですね。だから、もし、イタリアに住むのであれば、イタリアの食文化を取り入れて、土地にあった食事をしていくのがいいんだと思います。長くその土地、風土に根付いているということは、それだけの理由があるということなんです。

ミヨコ:なるほど。気候風土にあった食べ物をということなのですね。

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