手仕事カレンダー

Vol.1 彩り豊かな春野菜をたっぷりと。
漬け汁ごと味わい尽くす、上島亜紀さんの「水キムチ」

2023/02/22

Vol.1 彩り豊かな春野菜をたっぷりと。漬け汁ごと味わい尽くす、上島亜紀さんの「水キムチ」
Vol.1 彩り豊かな春野菜をたっぷりと。漬け汁ごと味わい尽くす、上島亜紀さんの「水キムチ」

栄養豊富でみずみずしく、甘みがあって、生食にも適したものが多い、春の野菜。カラフルな色合いも、食卓に元気を運んでくれます。

今回は、そんなさまざまな春野菜を使って、料理家・フードコーディネーターの上島亜紀(かみしまあき)さんに、よく作るという水キムチのレシピを教えていただきました。さらに、上島さんのお気に入りの発酵食品についても伺いました。

“ぬか漬け感覚”で作れる
水キムチのおいしさと
体へのよさに開眼

年々、辛いものが苦手になってきたという上島さん。旅先の大阪・鶴橋のコリアンタウンで水キムチと出会って以来、そのおいしさにハマったそうです。

「辛味もなくて食べやすく、さまざまな種類の野菜もとれ、和洋中何にでも合うのが魅力です。韓国の友人に教わって作るようになりましたが、生で食べられる野菜は何でも漬けられて、ぬか漬けと同じような感覚で作れますよ」

また、体を整えてくれるという実感も。
「水キムチは、乳酸菌の量が唐辛子のキムチよりもかなり豊富だそうで、ダイエットをしたい時や体調が傾いたときなどによく作ります」

水キムチを
おいしく作るためには?

上島さんの水キムチ作りに欠かせないのは、発酵を促し、うまみのもとになる、アミの塩辛。「韓国の友人も『これがないと、本場の味にならない』と言うんです。冷凍のものだと手軽に使えるので、WEBショップで購入しています」。さらにうまみを加えるために、刻み昆布もポイントだそう。

また、乳酸発酵のお助け役としてデンプン質ののりを加えるのが水キムチの特徴ですが、「米粉を使えば手軽ですよ。ほかの料理やスイーツにも使えるので、ムダにもなりません」

漬ける野菜は、旬のものが一番。「春キャベツと大根をベースにしたレシピですが、今回使ったセロリ、うずまきビーツ、新にんじん、ほかにもかぶなど、好みで加えて、春らしい彩りを楽しんでみてください」

「春野菜の水キムチ」のレシピ

  • [材料](作りやすい分量)
    春キャベツ1/4株(250g)
    大根1/6本(200g)
    好みの漬け野菜300~400g (セロリ、うずまきビーツ、新にんじんなど)
  • (A)
    米粉大さじ1
    100ml
    (B)
    大根1/8本(150g)
    りんご1/2個(100g)
    玉ねぎ1/2個(100g)
    セロリ1本(100g)
    にんにく1かけ
    しょうが1/2かけ
    アミの塩辛20g
    刻み昆布3g
    100ml
    砂糖大さじ1と1/2
    大さじ1

「春野菜の水キムチ」の主な材料。手前中央の薄ピンクの食材が、アミの塩辛。
ベースになる春キャベツと大根以外の漬け野菜は、生食に向くものなら、お好みで選んで。

  • [作り方]
    1.キャベツは一口大にちぎり、大根は3㎜幅のいちょう切りする。塩小さじ1(分量外)であえ、30分ほどおく。
    2.漬け野菜は食べやすい大きさに切る。
    3.耐熱ボウルにAを入れて米粉を溶き、ラップをかけずに電子レンジで1分30秒ほど加熱し、よく混ぜてのり状にする。
    4.Bの大根とりんごは皮をきれいに洗って5㎜厚さのいちょう切りに、セロリは斜め薄切りに、玉ねぎは薄切りに、にんにくは芽があったら取り除いて薄切りに、しょうがは薄切りにする。フードプロセッサーに入れ、Bの残りの材料といっしょに液状になるまで攪拌し、水400ml(分量外)を加える。

    5.厚手のキッチンペーパーで④をこしてボウルに入れ、水400ml(分量外)、③、①、②の順に加えて、保存容器に入れる。

    (左)野菜やアミの塩辛などのエキスを厚手のキッチンペーパーでこし、水、③を加えて漬け汁に。
    (右)ベースとなる野菜から漬け汁に加える。

    6.⑤に刻み昆布を加え、瓶の口をしっかりと閉じる。

    アミの塩辛のほかに、昆布でさらにうまみを加えるのがポイント。刻み昆布なら、具としても食べやすい。

    7.容器の口をしっかりと閉じ、常温で一晩(冬は二晩くらい)おいてから、冷蔵庫で保存する。

食べごろは、3~4日目。「さわやかな酸味のいい香りで判断するようにもしています。
日が経つにつれて発酵が進むので、できるだけ、1週間くらいで食べきりましょう」(上島さん)。

「水キムチ」をおいしく、
余すところなく食べるには?

水キムチの漬け汁は、乳酸菌などの栄養が豊富でおいしいので、ぜひ汁ごと味わってほしいと上島さん。

「温かい雑穀米ごはんに汁ごとかけて、お茶漬け感覚で食べたりします。また、夜に口さみしい時に、そのままだと塩味が強いので、漬け汁をお湯で割って飲むとお腹が落ち着きます。漬け汁にところてんを一晩漬けて食べるのも、最高においしいんですよ」

漬け汁も1週間ぐらいで劣化してしまうので、残りそうなときには早めに冷凍保存するそう。「少しも無駄にせず、おいしく食べきりたい気持ちが強いですね」

熱々のごはんに水キムチを。
「さっとすませたいひとりのお昼ごはんや、食欲があまりない時の朝ごはんなどによく食べます」

子育てとともにさまざまな
発酵食品作りに夢中に

子育てを期にOLをやめ、食の世界に足を踏み入れたという上島さん。体を思い、食を大切にしたお母様の影響が大きかったそうです。家でおいしいもの、体によいものが食べたくて、発酵食品も手作りを、と始めたのが味噌作りでした。

さらに、ヨーグルト、甘麹、発酵あんこ、ぬか漬け、キムチ、水キムチとさまざまな発酵食品作りに夢中になったという、上島さん。今では息子さんも独立して家族のかたちが変わり、味噌作りも隔年に。水キムチ、ぬか漬けなど、種類も絞られてきたそうです。

最近よく作るのは、発酵あんこ。「昨年の夏から始めたダイエットのために、ジム通いをしていて、食事制限も課されます。でも、甘いものを制限するとリバウンドしがちで。発酵あんこを作って凍らせて、大好きな小豆バー代わりにすることにしました。麹の力で、結構甘くておいしいです」

(左)発酵あんこは小分けにして冷凍し、そのままアイスバー代わりに。
(右)味噌は隔年で手作り。1kgごとに冷凍保存。
「風味がフレッシュなまま保てると、味噌蔵の方に教えてもらいました。塩分が多いので固まらず、使いやすいですよ」

塩糀の“無限の可能性”に
改めて注目

さまざまな発酵食品を作り、使った中で、調味料としての優秀さを特に実感しているのが、塩糀。「砂糖やみりんを加えなくても、塩糀ひとつでおいしく仕上がります。和洋中幅広く使えるのが魅力です。また、肉や魚を漬け込むとふっくらとしてうまみも増しますし、ツヤっとした焼き上がりになりますね」

また、塩糀に含まれる酵素を意識的にとるようにしているそうです。 「オリーブオイルやハーブなどを加えてトマトのカプレーゼなどのドレッシングにしたり、すった山芋に加えて鍋料理のトッピングにしたりします」

しかし、塩糀を手作りするとどうしても塩味が強かったり、保存しにくかったりするのが悩み、と上島さん。「マルコメの生塩糀は塩味がマイルド。キャップ付きで手軽に保存ができるのでお気に入りです」

せん切りキャベツをマルコメの『プラス糀 生塩糀』でもみ、ポリ袋に入れて空気を抜いて15分ほど漬ければ、
おいしい浅漬けに。ゆずの皮や粉山椒を加えて、アレンジも。

上島亜紀(かみしまあき)さん

料理家・フードコーディネーター

上島亜紀(かみしまあき)さん

料理家・フードコーディネーター

上島亜紀(かみしまあき)さん

自宅にて「A’s Table」を主宰。食育アドバイザーやジュニア・アスリートフードマイスターの資格も取得。手軽な家庭料理からおもてなし料理、パンやスイーツまでと幅広い分野のレシピが女性誌や書籍などで作りやすいと好評。近著に『「また作って!」と言われる おかわりおかず』(池田書店)。『電気圧力鍋で朝ラクラク弁当』(主婦の友社)など。
https://www.instagram.com/kamisimaaki/

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