おいしく長寿。魅惑の発酵王国NAGANO

「発酵バレーNAGANO」設立
〜発酵食の宝庫・長野県が連携して健康、長寿を発信~

2024/02/01

「発酵バレーNAGANO」設立〜発酵食の宝庫・長野県が連携して健康、長寿を発信~
「発酵バレーNAGANO」設立〜発酵食の宝庫・長野県が連携して健康、長寿を発信~

日常的に食べている発酵食品といえば、何を思い浮かべますか?  みそ、納豆、醤油、漬物などいろいろありますよね。信州みそなどで有名な長野県は昔から伝統的に「発酵食品」の文化が根づいており、みそだけではなく日本酒、ワイン、チーズ、酢造りなども盛んで、発酵食品の一大宝庫なのです。
そんな長野県内の発酵食品産業8団体と企業がコラボレーションし、「発酵バレーNAGANO」の設立を発表しました。2023年11月24日(いい日本食の日)に行われたキックオフイベントの様子をご紹介します。

8つの分野の発酵食品企業・
団体がタッグを組んで、
発酵長寿県・長野を世界にアピール!

写真左から
高田和明さん(株式会社アトリエ・ド・フロマージュ代表取締役社長)
宮坂直孝さん(長野県酒造組合会長/宮坂醸造株式会社)
村田滋さん(長野県納豆組合理事長/有限会社村田商店)
西経子さん(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 内閣審議官)
米山弘さん(長野県醤油工業協同組合連合会理事長/伊那醤油株式会社)
青木時男(長野県味噌工業協同組合連合会理事長/マルコメ株式会社)
古越三幸さん(長野県漬物協同組合理事長/株式会社くるまや)
武田晃さん(長野県ワイン協会理事長/有限会社たかやしろファーム)
内堀泰作さん(内堀醸造株式会社代表取締役社長)

各界の連携によって知識や
技術を共有、創出

長野県は世界的なトップクラスの長寿県です。理由のひとつに、長野県の日常的な食事には野菜や発酵食品が多く含まれており、健康増進効果が影響していると言われています。「長野県が誇る発酵食(健康食)」についての研究や商品開発などを産業、官公庁、学校(以下、産官学)が連携して行い、「発酵長寿県・長野」の魅力を世界へ発信していくのが「発酵バレーNAGANO」です。

タッグを組んだのは長野県内のみそ、日本酒、ワイン、醤油、漬物、納豆、チーズ、酢の8つの発酵食品業界。発起人である青木時男は、「産官学連携によって各界の知識や技術の共有が生まれ、今までにない発酵食品の創出ができると思います」と語りました。伝統ある発酵食の数々が横につながることによって、新しい発酵食や健康食の誕生が期待されます。

キックオフイベントの応援に駆けつけた西経子さんは「2023年は和食文化がユネスコ無形文化遺産登録された2013年からちょうど10周年。このタイミングで発足した『発酵バレーNAGANO』を起点に他の県とも連携して、この取り組みを全国に広げていけたら素晴らしい」とエールを送りました。

「発酵バレーNAGANO」
キックオフイベントでは
発酵セミナー、発酵食手作り体験など大盛況!

長野の発酵文化について語る、戸井田仁一さん(長野県工業技術総合センター食品技術部門 食品バイオ部長)

長野の発酵食文化は、
恵まれた天候や土壌から

そもそもなぜ長野県に発酵食文化が根づいたのでしょうか。答えは長野県の立地や気候にあります。長野県の面積は全国4位と広く、水はけの良い土地が多いため、昔からさまざまな農作物を栽培しています。
「農作物は豊富に収穫できるものの、冬は雪が多く、昔は食品の流通が難しかったため、各家庭では塩を加えて保存する工夫をしました。内陸気候の長野県は冷涼で雨が少なく、発酵に適していたのです。保存性が高まるだけでなく、発酵、熟成によってうまみが増すことにも気づいたのでしょう。こうして長野県に発酵食文化が根づき、発酵食品メーカーも数多く誕生しました」と戸井田仁一さん。
現在、長野県の全国出荷量はみそが1位、清酒、果実酒、醤油、野菜漬物は2位と、全国的にもハイレベルです。そんな長野県の発酵文化を多くの方に知っていただくために、「発酵バレーNAGANO」キックオフイベントでは、身近な発酵食品作りの体験会やトークセッションが開催されました。

体験会では「味噌アンバサダー」が、みその作り方を指導。
蒸した大豆をペースト状になるまで手でつぶして米味噌を仕込みました

醤油物知り博士としても活動する米山弘さんが、醤油の製法の違いや原料の配合などによって
5種類の醤油ができることをわかりやすくレクチャー。実際に食べ比べてみて初めてわかる味の違いに
みなさん驚きの声をあげていました

長野県の発酵文化を担う
老舗の若旦那、若女将5人の
本音トークセッション

長野県で先祖代々続く家業を継いだ若旦那、若女将5人のトークセッション。老舗ならではの苦労、楽しみ、夢を語りました。

写真左から、青木茂太さん(すや亀)、西澤真澄さん(24koujiya)、若林真実さん(若林醸造)、
木下祥平さん(松岡屋醸造場)、久保廣範さん(マルトウ)

<質問1>
先代とのジェネレーションギャップやこだわりなど、老舗の家業ならではの苦労はありますか?

青木茂太さん(すや亀・みそ製造業)
私は1902年創業の「すや亀」の4代目になりますが、家業に入ったのは2年前でして、それまでは別の食品メーカーに勤務しておりました。まだ新米で修行中の身なので大きな苦労はありませんが、みその消費が減っていると実感しているので、みそ盛り放題など、企画方面でがんばっているところです。うちの店の半径5kmのお宅のみそを全部「すや亀」のみそにできたらいいなと!

西澤真澄さん(24koujiya・麹卸売業)
私は江戸時代から麹の卸と小売りを続けている「西麹屋本舗」の6代目の嫁でして、夫の義弘は毎日麹の世話がありますので、本日は私が出席させていただきました。苦労したことといえば、イベントやSNSという今風のやり方が先代社長に伝わらなくて困った時期がありましたね。麹をどうやって料理に取り入れたらいいかわからない若い方も多いので、いろいろな発信をしたいのですが、いまひとつ先代社長の理解が得られない。最後は「私が全部責任を持つのでやらせてください!」と言って説得して始めたのが「24koujiya」です(笑)。どうしても若いお母さん世代に麹を知っていただきたい一心でした。

若林真実さん(若林醸造・酒造業)
私は1896年創業、塩田平の酒蔵「若林醸造」の5代目でして、長野では女性7人目の杜氏(とうじ)です。私は先代の次女ですので、ズバズバ思ったことを言いますが、そのぶん売ります!生産量と販路では父を超えましたので、もう父はダンマリです(笑)。これからは良い品質にさらに付加価値をつけて、正しい値段をつけていくべきだと思っています。すでに海外輸出は始めていますが、もっと販路を広げていくつもりです。

木下祥平さん(松岡屋醸造場・醸造業)
「松岡屋醸造場」は1534年創業、長野県内では2番目の老舗でして、私の父が15代目で私がその後継者になる予定です。 私の場合、自分の親には思ったことを言えていますし、これといった苦労はないです。ただ、先々代である私の祖父が頑固者で父が苦労していました。そのせいか母はいつも「親子は仲良くやらんとねー」と言っているので、そのおかげかもしれません(笑)。変わってきたことといえば、今までは広告などお金がかかることは一切できませんでしたが、最近ようやくホームページをおしゃれにしました。

久保廣範さん(マルトウ・漬物製造業)
みなさん本当に長い歴史があってすごいですよね。漬け物屋の「マルトウ」は1941年創業ですから、たった82年。短く感じますね(笑)。現在、父が代表、私がその後継者ということになります。苦労と言うか悩ましいのは、ここ10年、自然環境や働く環境が本当に変わってきたことを感じています。農家さんが高齢化していることと、地球温暖化で野菜の種まきが遅れると収穫時期が寒いため、品質の良い野菜ができないといった理由で漬け物の主役である野菜の確保が難しいのです。長野県が取り組んでいる「減塩運動」の時には正直不安もありました。ただ、塩や砂糖は体に必要ですし、発酵食品は体に良いという認知も高まりましたのでこの問題はクリア。こうして、ひとつずつクリアしていけたらいいなと考えています。

<質問2>「発酵バレーNAGANO」が発足しました。今後の商品開発や販促に変化はありますか?

(西澤さん)
若林さんの日本酒の海外進出というお話を聞いていて思ったのですが、おいしいお酒があるところにはおいしい料理がありますよね。ということは、うちの麹で作った調味料はどこにでもついていけるなと。海外進出に一緒に連れていってください!

(若林さん)
あらら、お願いされちゃった、責任、重たいですね…(笑)。ただ、日本酒の輸出量は増えてきていますし、需要も高まっています。私の蔵にも多くの海外旅行者が訪れてくださって、土壁、瓦、縁の下など明治29年の木造の蔵に興味津々です。確実に日本文化をテーマに観光されているのがよくわかります。

(久保さん)
そうそう。これを機に人が集まればいろいろな発想やつながりが生まれますよね。「発酵」をキーワードにして、一緒に進んでいければいいですよね。

(木下さん)
食べることが嫌いな人はほとんどいませんからね。発酵食品に興味がある人はみんな長野に来て、発酵について知ってほしい、という気持ちです。

(青木さん)
そうですよね、お客さんとコミュニケーションを取れる場所が必要だと思います。僕はまだまだこれからなのですが、店や商品作りの歴史に責任を感じていて、「何ができるか」と考えた時に、場所作りが思い浮かび、お店の改装を考えているところです。「発酵バレーNAGANO」の関係者の方々やお客様と一緒に発酵長寿県・長野を作っていければいいなと思います。

発酵の可能性は無限大!
2024年も長野の魅力を
積極的に発信

食と旅をセットにしたツーリズムについて語る前澤知江さん(長野ワイントラベル代表 JSA認定ソムリエ)

海外進出や交流に力を入れ
「発酵ツーリズム」など、
食と旅をセットにした楽しみ方も提案

「発酵食品の成長のためには海外進出や交流は欠かせない」と発酵バレーNAGANO発起人の青木時男は、国内海外への展示会の出展、長野県が訪日外国人の目的地になること、観光ツーリズムとの連携などを強調します。
実際、ここ数年、ワインツーリズムや発酵ツーリズムなど、食と旅をセットにしたツアーの人気が高まっているのだそう。全国100カ所以上のワイナリーを巡ったソムリエで長野ワイントラベル代表の前澤知江さんは「地域のワイナリーやぶどう畑を訪れて、テロワール(ぶどう畑がある場所の自然環境要因)を知り、地元の食べ物、自然などその土地をまるごと楽しむ、そこでしかできない体験がますます人気になるのではないか」と語ります。

「発酵バレーNAGANO」の
今後に注目!
2024年も長野の魅力を
積極的に発信

「発酵」をテーマに異なる8つの業界から300以上の団体や企業が参加する「発酵バレーNAGANO」。業界の垣根を越えて知識、技術を共有し、最大の力を発揮させていくという試みは始まったばかり。発酵業界が一致団結して発酵食品の魅力を全世界に伝えながら、地方創生を目指していきます。2024年も発酵文化の新たな楽しみに接する機会が増えそうです。「発酵バレーNAGANO」の今後の展開や取り組みに期待しましょう!

発酵バレーNAGANO

発酵バレーNAGANO

長野県発酵食品産業加盟8団体・企業(みそ・日本酒・ワイン・醤油・漬物・納豆・チーズ・酢)が連携して「長野県が誇る発酵食(健康食)」の魅力を、広く県民に、さらに海外から長野県に来られる方に発信し「NAGANOと言えば、発酵・長寿県というブランドを構築すること」を目的に発足したコンソーシアム。
主な活動内容:(1)国内でのイベント連携、(2)国内・海外展示会への出展、(3)製品開発の連携、(4)広報活動の連携、(5)観光ツーリズムの連携、(6)産学連携による研究開発拠点の形成

https://hakkou-valley.nagano.jp/

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