コーヒーと発酵

水戸から世界へコーヒーカルチャーを発信
注目を集める小さなコーヒーロースター
<MOOD coffee & espresso>

2026/01/08

水戸から世界へコーヒーカルチャーを発信 注目を集める小さなコーヒーロースター <MOOD coffee & espresso>
水戸から世界へコーヒーカルチャーを発信 注目を集める小さなコーヒーロースター <MOOD coffee & espresso>

実は発酵と関わりが深い飲み物、コーヒー。発酵の世界を日常の中で感じられるカフェを訪ねる企画の第2回目は、茨城県・水戸市にある「MOOD coffee & espresso」。店主の大貫健晴さんは焙煎競技会「Japan Coffee Roasting Championship 2024」で優勝を果たすなど、注目を集めている焙煎士。大貫さんに水戸で店をオープンした経緯や発酵にまつわるお話を伺いました。

豆の個性が味わえる中浅煎りの焙煎

水戸駅から徒歩10分ほどの場所にある「MOOD coffee & espresso」。のんびりとした空気が流れる店には次々と常連客がやってきて、店主夫妻と語り合いながら自家焙煎のコーヒーを楽しんでいます。街の日常に溶け込む、小さなコーヒーロースターです。

コーヒー店で修行を積んだ夫婦ふたりが営む店。平日は地元の常連客、週末は遠方からもコーヒー好きが訪れる。

店主の大貫健晴さんがコーヒーと出会ったきっかけは、コーヒーショップでのアルバイト。最初はとりたててコーヒー好きではなかったものの、徐々にコーヒーの魅力にどっぷりと浸かっていきました。

「コーヒー豆は生産される国によって個性が違うし、焙煎度合いによっても味が変わるところが面白いなと思ったんです。当時はチェーン店に勤めていたので焙煎する機会はなかったのですが、小さな焙煎器を買って、家で焙煎を始めてみたらさらに面白くて」

店名のMOODの由来は、「ゆるい雰囲気のコーヒー店にしたかったから」と大貫さん。

その後、東京・青山の「Little Darling Coffee Roasters」で焙煎の経験を積み、独立。都内から水戸へと移り住み、202111月に夫婦で「MOOD coffee & espresso」を始めました。

「もともと僕がひたちなか市出身で、水戸にある高校に通っていたんです。東京は人が多いし、疲れてしまう。とはいえ全く知らない土地よりは、馴染みのある場所で店をやりたいと思ってここを選びました」

明るい光が差し込む店内。外の道は石畳で、大貫さんがこの場所を気に入った理由のひとつ。

大貫さんがオープン当初から常にこだわってきたのは、自分たちが飲みたいコーヒーをお客さんに提供すること。そのため、中浅煎りの焙煎を選択しています。

「日本のコーヒーシーンは深煎りが主流ですが、中浅煎りの方が豆の個性がわかりやすい。豆のポテンシャルを引き出す焙煎が求められるので、ちゃんと個性を引き出せた時は焙煎って面白いなと思うんです」

コーヒーの抽出には一つ穴のドリッパーを使用している。

焙煎士によって焙煎する際のこだわりは異なりますが、大貫さんは音を頼りに焙煎。

「温度や時間などを決めて、秒単位で作業する人が多いと思いますが、僕はこだわりをあまり持たずにやっているタイプ。決まったルーティーンはありますが、ガチガチに固めずにやっています。唯一頼りにしているのは音。焙煎器のドラムを撹拌していると、豆が鳴るので、その音で判断しています。感覚的なので説明しづらいのですが、それが他のロースターとの違いかもしれません」

カフェラテも人気。ブレンドと日替わりの豆の2種類から選ぶことができる

地方都市の個人店が世界に挑戦!

大貫さんは2024年には競技会に初挑戦。日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が主催する焙煎競技会「JCRCJapan Coffee Roasting Championship2024」で優勝を果たしました。

カウンターに置かれた盾。JCRC2024 優勝。豊潤富士カップ国際焙煎大会2025日本予選会 準優勝。

挑戦した理由は、「水戸で店を開いて3年を迎え、お客さんもついてくれるようになりましたが、自分の焙煎が本当に美味しいのかを知りたかった」と大貫さん。客観的な評価を受けたことは大きな自信につながったそうです。

「反響も大きくて、店を知ってもらうきっかけにもなりました。地方都市だと店を知ってもらう機会も多くないですし。それに常連のお客さんたちが優勝をすごく喜んでくれたので、出て良かったなと思います」

店内にある小型の焙煎器。週に4回ほど、営業中に焙煎を行っている。

その後、アメリカで開催されたWorld Coffee Roasting Championship 2025にも日本代表として出場し、10位に。普段とは異なる環境、限られた条件下でもいつも通りの焙煎ができたと振り返ります。

「競技会の本番でもお店でやっているような焙煎ができたと思います。いろんな国の方がいて、知らない焙煎のアプローチをしている様子を見れたことも面白かったです。大手ではない、僕たちのような地方都市の個人店の焙煎が通用したことに手応えを感じました。また挑戦してみたいです」

ユニークな味と香りが引き立つコーヒーの発酵プロセス

スペシャルティコーヒーの世界で、最近注目を集めているのが精製プロセスにおける発酵。「MOOD coffee & espresso」でも発酵プロセスを経た豆を扱っています。

エチオピア、コロンビア、中国などの豆を取り扱う。焙煎したコーヒー豆は店やオンラインショップで販売。
パッケージデザインは友人のデザイナーが手がけている。

「発酵は味に大きな影響を及ぼします。例えば、イースト菌を使って発酵させている中国の豆は、桃やライチのようなフルーティーで大地っぽいニュアンス。コロンビアの豆は、花の酵母と一緒に発酵させることで花のようなニュアンスです。嫌気性の発酵プロセスを経たエチオピアの豆も2種類置いていて、これは48時間と72時間という発酵時間の違いによって異なる印象になっています。48時間は柔らかく、72時間はより芳醇な印象になる。そんな違いを楽しんでほしいです」

ETHIOPIA Hamasho ANAEROBIC Natural 72hrs。
グレープを思わせる芳醇な香りと甘み、完熟オレンジのような酸とダークチョコレートを思わせる口当たりが
楽しめる。

近年、次々と発酵プロセスが開発され、今後もいろんな可能性が広がりそうだと語ってくれました。

「発酵プロセスを経たコーヒーは飲んだ時にユニークな印象になりやすいし、香りの強度も上がります。違いを楽しむために、浅煎りや中浅煎りのコーヒーを飲んでもらえるきっかけにもなる。ゆくゆくはコーヒー農園を訪れて、自分たちでも発酵のプロセスに挑戦してみたいです」

MOOD coffee&espresso

MOOD coffee&espresso

住所:
茨城県水戸市南町2-4-58常盤ビル1階
営業時間:
10:00~17:00
定休日:
水曜
URL:
https://moodcoffee-espresso.com/

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