発酵でつながる、おいしい輪!「私の発酵“推し”美食」

Vol.27.かたくなったパンが深い旨みの一皿に。
Osteria Luce馬場澄人さんの「リボリータ」

2026/03/12

Vol.27.かたくなったパンが深い旨みの一皿に。Osteria Luce馬場澄人さんの「リボリータ」
Vol.27.かたくなったパンが深い旨みの一皿に。Osteria Luce馬場澄人さんの「リボリータ」

食にかかわるプロに、お気に入りの「推したい発酵食」を紹介いただく本連載。今回のゲストは、東京・北千住のイタリアン「Osteria Luce(オステリア ルーチェ)」の馬場澄人(ばばすみと)さん、まゆみさんご夫妻です。

素材の持ち味を引き出す馬場シェフの一皿に、まゆみさんが選ぶ自然派ワインを合わせれば、奥行きのある旨みに、やわらかな余韻が続きます。

そんな二人が推す発酵食は「リボリータ」。イタリア語で“再び煮込む”という意味をもつ、トスカーナ地方の郷土料理です。家庭で気軽に作れるレシピを教わりました。

とろんとやさしい旨みの「リボリータ」

トスカーナ産の赤ワインと合わせて。

野菜と白いんげん豆をクタクタに煮込み、パンを加えてやわらかな口当たりに仕上げるリボリータ。経済的に豊かとはいえなかったトスカーナ地方で、かたくなったパンを大切に食べ切るための知恵から生まれた料理です。

  • [材料](作りやすい分量)
    玉ねぎ1個
    にんじん1/2本
    セロリ1/2本
    キャベツ1/8個
    黒キャベツ4〜5枚 (ケールやちぢみほうれんそうでもOK)
    かぶ小1個
    カリフラワー1/4個
    白いんげん豆(乾燥)50g
    パン(ハード系)80g
    小さじ1/2
    ひまわり油適量
    エキストラバージンオリーブ油適量
  • [準備]
    白いんげん豆は、たっぷりの水につけて一晩おき、もどす。
    [作り方]
    1.玉ねぎ、にんじん、セロリ、キャベツ、カリフラワーはあらみじんに切る。黒キャベツは茎をつかみ、葉元から葉先へ向かって引き、葉をはずす。かぶは角切りに、パンは小さめに切る。
    2.鍋にひまわり油を熱し、玉ねぎ、にんじん、セロリの順に加えて、強火で炒める。しっとりしてきたら火を弱め、キャベツ、黒キャベツ、かぶ、カリフラワーを順に加えてさらに炒める。
    3.野菜のカサが減ってきたら塩を加えて混ぜ、いんげん豆をもどし汁ごと加える。蓋をして10分ほど煮て、塩(分量外)で味をととのえる。
    4.パンを加えたら、焦げないように鍋底からよく混ぜ、ひと煮立ちしたら火を止める。蓋をして2時間ほどおく。

    5.食べる直前にあたため直し、オリーブ油をひと回しして混ぜる。器に盛り、好みで「追いオリーブ油」を。

    玉ねぎ、にんじん、セロリをベースに、そのほかの野菜は冷蔵庫にあるものでOK。
    白菜、大根、小松菜、ブロッコリーなど、好みの野菜でアレンジを。
    「蒸し煮にしたときや、蓋をしてしばらくおいたあとは、蓋についた水滴を鍋に戻して。
    この水滴にも野菜の香りや旨みが移っています」

「ポイントは、野菜の水分をできるだけ飛ばさないようにすること。強火でサッと炒めたら、弱火にしてじっくりと火を通します。この工程で、野菜の味わいがぎゅっと凝縮。あとはパンがもつ酸味や旨み、ほんの少しの塩だけで、驚くほど複雑な味わいに仕上がります。本来は一晩おくのがおすすめ。“再び煮る”という料理名のとおり、煮返すと味がなじみます」

ワインのセレクトとサービスを担当する、まゆみさん。

シェフが惚れ込む「呑めるパン」

Osteria Luceのパンは、茨城県石岡市のパン工房「フォルノ ア レーニャ パネッツァ」から取り寄せたもの。ずっしりと重いハード系パンは、かむほどに酸味、旨み、香りが口いっぱいに広がります。気がつけばワインが止まらなくなる、馬場シェフ曰く「呑めるパン」。

リボリータに使うパンも、もちろん「パネッツァ」のもの。この日は、表面に小麦ふすまをまとった自家酵母のパンを小さくカットして加えました。

「目の詰まった『パネッツァ』のパンは、酸味と複雑な香りがあり、自家酵母のパンだからこそ出せる旨みがあると感じています。家庭で作るときは、食パンやロールパンなどのふわふわした食感のパンよりも、カンパーニュなどハード系のパンでお試しを!」

素材の旨みを最大化する、大らかな料理哲学

家庭にある野菜とパン、そして塩とオリーブ油。

特別な食材に頼らず、素材の力を引き出すリボリータは、“イタリアのマンマの味”といえる一皿です。

「イタリアの家庭では、まな板を使わず鍋の上で、野菜を手に持ってラフに切って放り込むことも多いんですよ。今回のリボリータでも、いくつもの野菜を使いますが、同じ大きさに切りそろえる必要はありません。むしろ、火の通りのムラでさえ、一皿のなかで多様な食感や味わいを生む。それがイタリア料理の文化でもあるんです」

素材の持ち味をとことん引き出す。その姿勢は、馬場シェフがめざすOsteria Luceの味でもあります。

「色よく、美しく仕上げることより、その素材のもつ旨みや個性を大切に、なるべくシンプルに無理なく作りたい。何を食べているのかわかりやすい料理が好きですね。それに、余計なものは足さない味わいが、うちでお出ししているワインとの相性もいいのかな、と感じています」

気のおけない友人や家族、恋人と、ゆったりと食事と会話を楽しめる空間。

料理の輪郭をととのえる、発酵という存在

炒める。煮る。じっくりと蒸す。カリッとグリルする……。シンプルな調理だからこそ、塩や酢を加えるタイミング一つで、料理の印象は大きく変わると言います。

「酢は好きで、最近は13種類ほどを使っています。昨年は、柿をたくさんいただいたので、自家製の柿酢も作ってみました。思えば、酢も発酵の産物ですね」

パンやチーズ、ワインもまた、微生物の働きが生み出す味わい。馬場シェフにとって発酵は、主役というよりも、素材の持ち味を引き立てる存在のようです。

「“発酵食品を使おう”と意識しているわけではありませんが、気づいたら自然と料理に取り入れているもの、という感覚です」

ワインを担当するまゆみさんも、シェフの言葉にうなずきます。
「発酵の味わいは、ワインともなじみがいいですね。料理とお酒が寄り添って、お互いの魅力が広がっていくような印象があります」

グラスワインの種類も豊富!

作り手の顔が見える自然派ワインと、素朴でいて奥深い料理がお互いを引き立て合う。Osteria Luceの織りなすハーモニーは、一口ごとにじんわりと深い満足感を残します。

手間を惜しまず、けれど気負わず。馬場夫妻が大切に育む“イタリアのマンマの味”は、今日も訪れる人を家族のようにあたたかく迎えています。

次回は、馬場シェフも全幅の信頼を寄せるパン職人、「フォルノ ア レーニャ パネッツァ」の角谷總さんを訪ねます。馬場シェフのリボリータはもちろん、「呑めるパン」としてワインにもぴったりな、大人気の角谷さんのパン作りをどうぞお楽しみに。

馬場澄人(ばばすみと)さん

馬場澄人(ばばすみと)さん

馬場澄人(ばばすみと)さん

東京誠心調理師専門学校を卒業後、池袋の「リストランテ文流」(現在は閉店)にて約10年勤務。都内のイタリア料理店で料理長を務めたのち、2008年にOsteria Luceを開業。妻のまゆみさんとの出会いは、文流時代。

馬場まゆみ(ばばまゆみ)さん

馬場まゆみ(ばばまゆみ)さん

馬場まゆみ(ばばまゆみ)さん

服部栄養専門学校を卒業後、「つばめグリル」「リストランテ アクアパッツァ」「リストランテ文流」などで勤務。休日には二人で、おいしいお店の食べ歩きに出かけることも。

Osteria Luce

住所:
東京都足立区千住仲町12-10
TEL:
03-6673-4273
定休日:
不定休

Instagram:@osterialuce

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