日本の発酵食 -食卓を飾る“菌未来”-

第四回:ぬか漬け

2014/06/13

味噌、醤油、酢、みりん、納豆など、日本の食卓を支えてきた発酵食。

その土地に棲む微生物の働きによってうまみが生まれ、身体にもよい作用をもたらす発酵食は、先人が生み出した知恵であり、次世代につなげていきたい存在。

今の暮らしにも取り入れやすいレシピとともに発酵食の真髄に迫ります。

第4回は、四季折々の野菜をおいしく変化させる「ぬか漬け」です。

乳酸菌たっぷり! 日本の食卓を彩る発酵食品。

最近ではドラマなどにも登場し、注目を集めているぬか漬け。何世代にもわたって家庭で受け継がれてきた日本の食文化であり、おいしさとともに秘められた健康効果も見直されている。

「ぬか漬けは米ぬかを発酵させたぬか床に、旬の野菜などの食材を漬け込んだもの。諸説あるようですが、白米を食べるようになった江戸時代に生まれたと言われています。玄米を精製した時に出るぬかを再利用して、足りない栄養素を補う知恵ですね」と、自身もぬか床を育てている暮らし家・料理家の塩山奈央さん。

米ぬかにはマグネシウムや鉄などのミネラル、ビタミンB1やB6などのビタミン類が豊富に含まれ、発酵させることでぬか床に腸内環境を整えるという乳酸菌や酵母菌がたっぷりと生息。野菜を漬け込むとうまみや香りが増すだけでなく、ビタミンB1などが生の状態で食べるよりも数倍増加するという。

「3年ほど前から本格的に作り始めたのですが、季節ごとの野菜をたっぷりと食べられるし、しみじみとおいしい。子どもを産んでからは特にごはんと味噌汁、ぬか漬けの組み合わせって身体にいいなと実感するようになりました」

ぬか漬けは幅広く楽しめる、万能なおかず!

手入れが大変というイメージが強いぬか床だが、もっと気軽に生活に取り入れてほしいと語る塩山さん。

「ぬか床は世話の仕方で味が変わるところが面白い。放置してもいけないし、かといって世話のしすぎもよくありません。でもあまり深く考えずにやってみて、失敗したら作りなおせばいいと思うんです。作り方自体は簡単だし、私もダメにしてしまった経験がありますから」

発酵が進みやすく、夏野菜が増えてくる6月頃はちょうどぬか漬けを始めるのに適した季節。基本的な世話としては、毎日ぬか床を底から混ぜること。真夏などの暑い時期は冷蔵庫の野菜室で保管しておくと安心だ。

「足しぬかをするタイミングやうまみを出すための副材料に何を入れるかも自由なので、育てる楽しみがあります。1種類の野菜だけよりも、数種類の野菜を漬け込むほうが、ぬか床に深みが出るのでおすすめです」

また、そのまま食べるだけでなく、料理にもぬか漬けを活用している塩山さん。使い方のバリエーションが広がると食べきれなくなることも減り、ぬか漬け作りにも張り合いが出る。

「切り方ひとつでも食感や味が変化します。最近ハマっているのが、ぬか漬けを千切りにして豚しゃぶサラダにすること。ほかにも刻んでチャーハンにしたり、スープに入れたり、アボカドと和えてみたり。漬かり過ぎたぬか漬けの利用法としてもおすすめ。同じ発酵食品同士だからか、チーズとぬか漬けの組み合わせも相性抜群ですよ」

発酵の力で旬の野菜をおいしく変化させるぬか漬け。自分好みの味を育ててみては?

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