発酵マイスターに聞く!知って得する発酵豆知識

「手づくり味噌」の素朴な疑問を解決!
保管方法は?完成の目安は?

2019/07/18

「手づくり味噌」の素朴な疑問を解決!保管方法は?完成の目安は?
「手づくり味噌」の素朴な疑問を解決!保管方法は?完成の目安は?

発酵食品に注目が集まっている昨今、手づくり味噌にチャレンジした人、興味を持っている人も多いと思います。大豆、麹、塩を混ぜるだけでできる味噌ですが、実際にやってみると、うまく発酵しなかったり、カビが生えてしまったり、出来上がりの目安がわからないなど、さまざまな「なぜ?」が出てくるもの。

そこで今回は、マルコメ株式会社 広報宣伝課の発酵マイスター・尾田春菜(おだ はるな)が、手づくり味噌の管理にまつわるお悩みを解決します!

味噌は生き物!これだから
手づくり味噌はおもしろい

発酵が身近な存在となった昨今、自分で味噌を作るという人は年々増えています。ワークショップに参加したり、手づくり味噌キットを利用したりする人も多いと思います。

「先日、仕込んだ味噌の『お披露目会』という場に参加させていただいたんです。そこで持ち寄られた味噌は、大きな容器に入れた原料を参加者みんなで混ぜて仕込み、それを分配して各ご家庭で熟成させた物だったんですが、食べ比べてみると、味も色も香りも、信じられないくらい違って。

それは、ご家庭ごとに温度や湿度が違うことのほかに、置いている場所や、途中で空気にふれたかどうかなどが影響していると思うんです。改めて、味噌は生き物だなというのを感じる体験でした」

「味噌は生き物」という言葉のとおり、作る人によって味が変わるという味噌。そこがおもしろいところでもありますが、特に初めて作るという人は不安に思うこともたくさんあるのではないでしょうか。さっそく、手づくり味噌にまつわる素朴な疑問を解決していただきましょう。

これで安心!手づくり味噌の
よくある疑問に答えます

Q1.
作った味噌は、常温で発酵させるのが基本ですが、置いておくのに最適な場所とはどういった所なのでしょうか?

「守っていただきたいポイントは2つで、温かい場所であることと、直射日光があたらないことです。味噌の発酵をスムーズに進めるためには、25〜30℃は必要になります。なので、冬場に暖房のない場所に置いたり、夏場でもクーラーの効いた部屋に置いたりすると、発酵のスピードが落ち、なかなか完成しないということになってしまいます。

そんなときは、容器の上からダンボールをかぶせて陽のあたる場所に置いたり、こたつの中に入れたりして、ちょっと温めてあげるのもおすすめですよ。

ただ、唯一NGなのは冷蔵庫の中。冷蔵庫の温度だと、発酵がほとんど停止してしまいます。なので、置く場所は必ず常温で。25~30℃を維持できない場所であっても、発酵のスピードがゆるくなるだけで、長期間保管すればちゃんと味噌になります。心配しないでくださいね」

Q2.
仕込んだ味噌を発酵させているあいだ、心配なのはカビです。カビが生えてしまったときの対処法、さらに、カビを防ぐ方法はあるのでしょうか?

「味噌を仕込んだら中の空気をしっかり抜いて、表面をラップで覆って空気にふれないようにしてください。

そのとき、アルコール度数の高い焼酎を霧吹きで吹きかけてからラップをすると、よりカビが生えにくくなります。それでももし生えてしまったら、味噌を削ぐようにしながらカビを取り除き、再びアルコールを吹きかけてラップをすれば大丈夫です」

空気が入らないように、味噌と容器の接地面もしっかりラップを。

Q3.
味噌の熟成中、途中で「天地返し」を行ったほうがいいと聞きますが、必ずやる必要があるのでしょうか?

「個人で仕込んだ数kg程度であれば、必ずしも天地返しをする必要はありません。逆に、天地返しによって味噌の中に酸素が入ると、酸化が進み、味が落ちる原因になる場合もあるので、むしろ何もせずにそのまま置いておくほうがいいと思います」

Q4.
一般的に、味噌は冬の寒い時期に仕込む「寒仕込み」がいいとされていますが、冬以外の季節に仕込むのは避けたほうがいいいのでしょうか?

「そんなことはありません。寒仕込みがいいといわれるのは、冬の寒い時期のほうが雑菌の発生が少なくなるため。また、発酵・熟成もゆっくり進むので、そのほうがおいしく仕上がるともいわれています。

でも、仕込む時期はいつでも大丈夫なんですよ。逆に、あまり待たずに食べたいというときは、夏の暑い時期のほうが熟成期間も短くて済みます。ただし、暑い時期は雑菌の繁殖が心配なので、容器をしっかり熱湯消毒するなどして注意してくださいね」

Q5.
味噌の完成を見極めるポイントは?

「目安となるのは色と味。召し上がってみて、おいしいと思ったら出来上がりです。食べたときに、塩辛さが際立ったり、うま味を感じなかったり、まだできていない証拠なので、引き続き発酵させてください。

仕込んだら数ヵ月放置しっぱなし、という方もいるかもしれませんが、冬に仕込んだ場合は4ヵ月後くらい、夏に仕込んだ場合は2ヵ月後くらいから、様子を見てあげるのがおすすめです」

Q6.
味噌が好みの味に仕上がっても、そのまま置いておくと発酵が進んでしまいますよね?好みの状態をキープするためには、どのように保存すればいいのでしょうか。

「容器のまま冷蔵庫や冷凍庫に入れておけば、それ以上発酵が進むことはありません。どちらかといえば、冷凍庫のほうが、冷蔵庫に比べて扉の開閉も少ないのでおすすめですね。

今回、私が持ってきた味噌は2年前に仕込んだ物で、出来上がって以降は冷凍庫に保存しています。味噌は冷凍してもカチコチに凍ったりはしないので、使いたいときにサッと使えて便利ですよ」

全然凍ってない!

手づくり味噌でも
気楽に構えてOK!

「空気にふれないように密閉する」「直射日光にあたらない場所に置く」など、基本的なことさえ守れば、そこまで慎重にならなくても大丈夫という手づくり味噌。これで、だいぶハードルが下がったのではないでしょうか。それでももし、思ったような味噌に仕上がらなかった場合は…?

「お味噌汁には向かなくても、料理の隠し味として加えるほか、マヨネーズと混ぜてディップソースにするという手もありますよ。

個人的におすすめしたいのは、ヨーグルトと味噌を11で混ぜて漬け床にし、きゅうりやみょうが、にんじんなどを12日漬け込んでおくという使い方。ヨーグルトが入っているのでそんなに塩辛くならず、簡易ぬか漬けのような味が楽しめます!」

自分で作った味噌の味は格別ですが、仕込みから完成までの時間もワクワクさせてくれます。ぜひ気軽にチャレンジしてみてくださいね。

尾田春菜(おだはるな)さん

発酵マイスター

尾田春菜(おだはるな)さん

発酵マイスター

尾田春菜(おだはるな)さん

マルコメ株式会社広報宣伝課所属。
発酵マイスターに加えてジュニアソイフードマイスターの資格を持ち、発酵食品関連のイベントなどにも多く登壇している。

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