手仕事カレンダー

Vol.3 旬の魚がしっとり、ふっくら。
漬けるだけでおいしくなる、
市瀬悦子さんの「味噌漬け」

2023/05/25

Vol.3 旬の魚がしっとり、ふっくら。漬けるだけでおいしくなる、市瀬悦子さんの「味噌漬け」
Vol.3 旬の魚がしっとり、ふっくら。漬けるだけでおいしくなる、市瀬悦子さんの「味噌漬け」

魚は、食卓に季節を感じさせてくれる身近な食材。春から初夏にかけての時季にも、旬を迎える種類がいろいろとあります。忙しい平日でも、旬の魚のおいしさを堪能したいですよね。

今回、手軽に魚を楽しめる方法として、料理研究家の市瀬悦子(いちせえつこ)さんが提案してくれたのが、「味噌漬け焼き」。味噌漬け焼きをもっと楽しむためのアイデアや、お気に入りの発酵調味料「ナンプラー」についても教えてもらいました。

漬けて焼くだけで絶品、
お店の味に!

旬の魚が店で安く手に入ったり、料理の仕事で余ったりしたときには、味噌漬けにしているという、市瀬さん。前日に漬けておいて焼くだけと簡単なのに、確実においしく仕上がるのがすごい、といいます。

「味噌とみりんで作る味噌だれに漬けるだけで、パサつきがちな魚がふっくら、しっとりと仕上がります。余計な水分も抜けて魚のうまみが凝縮し、味噌だれの風味や香ばしさが加わって、塩焼きとはまったく違う魚のおいしさが楽しめます。冷めてもおいしいので、お弁当のおかずにもぴったりですよ」

市瀬さんが作る「味噌漬け」は、味噌床は不要。漬けるたびに味噌だれを少量作り、魚の表面に塗り広げてラップに包んで漬ける方法で作ります。
「味噌をたくさん使わずにすんで、手軽にできるのもいいですよね」

今回は、春から初夏にかけて旬を迎える、淡白な白身魚「さわら」を使いました。「味噌漬け焼きは、魚の種類をあまり選ばないのも魅力。旬のぶりやあじ、おなじみのさば、鮭、たらなど、種類を変えて楽しんでみてください

味噌だれは表面をまとうぐらいの分量。
「生の魚を漬けた後の味噌だれは、魚から水分や臭みが出たりしているので、再利用はしません」

「魚の味噌漬け焼き」を
焦がさずに上手に焼くコツは?

シンプルな手順でできる「味噌漬け焼き」ですが、焼く時の焦げつきには注意が必要です。焼いている間にふと目を離したら、真っ黒になってしまった、なんてことも。

「焦げの原因は、味噌だれです。まず、焼く前に味噌だれを魚からしっかりこそげとりましょう。残ると、焦げやすくなります」

焼くときは、こびりつかないテフロン加工のフライパンを使い、火加減にも気をつけます。「片面は弱めの中火でこんがりするまで焼き、裏返したらもう片面はごく弱火にして、火が通るまでじっくり焼くと上手に焼き上がります」

「さわらの味噌漬け焼き」のレシピ

  • [材料](2人分)
    さわら(切り身)2切れ(200g)
    少々
    〈味噌だれ〉
    味噌大さじ3
    みりん大さじ1
    サラダ油大さじ1/2

    「さわらの味噌漬け焼き」の材料。
    市瀬さんがよく使う味噌は、コクのある、
    国産の大豆や米を使った、信州・武田味噌の
    「銘醸」。

  • [作り方]
    〈漬ける〉
    1.味噌だれの材料を混ぜる。

    2.さわらは塩を振って5分ほどおき、出てきた水けをキッチンぺーパーでおさえる。

    塩を振ると、魚の余分な水分とともに臭みも出て、とり除ける。

    3.30×40cmほどのラップに、①の半量をさわら2切れ分ほどの大きさに塗り広げる。②をのせ、上面に残りのみそだれを塗る。

    ラップに半量の味噌だれを塗り広げた上に魚をのせて(左)、もう半量を魚の上面に塗り広げれば(右)、
    手を汚さずに魚全体を味噌で覆える。その後ラップで全体をぴったり包むので、ざっと塗れば大丈夫。

    4.ラップでぴったりと包み、バットなどにのせ、冷蔵庫で一晩漬ける。

    〈焼く〉
    5.ラップを開け、さわらについた味噌だれをゴムべらなどでこそげとる。

    味噌だれの残りは、焦げの原因に。しっかりとこそげとるのが、おいしく焼くコツのひとつ。

    6.フライパンにサラダ油を中弱火で熱し、⑤のさわらを皮目から入れ、2分ほど焼いてこんがりと焼き目がついたら裏返し、ごく弱火にして魚に火が通るまで5分ほど焼く。

    片面に香ばしい焼き目がついたら裏返し、ごく弱火にしてもう片面をじっくりと焼くと、焦げつかない。

    7.器に盛り付け、好みで甘酢しょうが適量(分量外)を添える。

同じ味噌だれで肉を
漬けてもおいしい!

この味噌だれは、魚だけではなく、肉にもぴったりの配合です。

「『さわらの味噌漬け焼き』のさわら2切れ分と同量の味噌だれで、鶏肉1枚も漬けられますよ。漬け方は同じですが、鶏肉には厚みがあるので焼き方を変えています。片面に中弱火で焼き目をつけて裏返したら、必ずふたをして、弱火でじっくり焼いてください」

「鶏肉の味噌漬け焼き」は鶏肉がしっとりジューシーに仕上がり、味噌の風味が香ばしく、ごはんが進むおいしさです。そのほか、とんかつ用の豚ロース肉など、肉の種類を好みで変えても。頼れるメインおかずのレパートリーが、味噌漬け焼きで広がるのはうれしいですね。

「鶏の味噌漬け焼き」は、鶏もも肉大1枚(300g)を
「さわらの味噌漬け焼き」と同量の味噌だれ(味噌大さじ3、みりん大さじ1)で同様に一晩漬ける。
焼く時は中弱火で皮目から2分ほどこんがりと焼き、裏返したらふたをして弱火にし、7分ほど焼く。 

味噌の種類や風味を添えて
味噌だれもアレンジ

市瀬さんが普段よく使う味噌は、「コクがあって、濃いめの色とバランスのとれた味が気に入っている」という信州味噌。

「西京味噌を使って漬けても、上品でおいしいですよね。西京味噌は一般的な味噌よりも塩分量が少ないので、下ごしらえの段階で魚に塩を少し多めに振っておくと、ちょうどいい塩梅になります。ほかにも、全国にはいろいろな種類の味噌があるので、使い分けると、新たなおいしさが発見できそうですよね」

また、味噌にプラスアルファの風味を足すのもおすすめ、と市瀬さん。

「しょうがのすりおろしや、お子さんの人気も高いにんにくのすりおろしを加えても。豆板醤で辛みを加えたり、コチュジャンを混ぜて韓国風の味わいにしたりしても、食卓に変化がつきますね」

マンネリ防止に!
もっと手軽に使いたい、
ナンプラー

市瀬さんに好きな発酵食品を聞くと、「ナンプラー」という答えが。タイ料理に欠かせない魚醤で、カタクチイワシなどの生の魚を塩で漬け込み、醗酵させた、うまみの強い調味料です。スーパーでも簡単に手に入るようになりましたが、まだまだ使いこなし方に悩む人も多い調味料では?

「炒め物はもちろん、チャーハンや炊き込みごはんの味つけに少し加えると、とってもおいしいですよ。加熱するとナンプラー独特の香りがやわらいで、うまみが残ります。エスニックな風味が加わると、ひと味変わりますよ」

同じ「ナンプラー」でも、実は商品によって風味がかなり違うので、好みの味を見つけてほしい、と市瀬さん。

「塩けが際立つものもありますが、私は塩けがマイルドでうまみが強い、タイ製の『バランス ナンプラー ゴールド』が好みです。これだと、そのまま振りかけたりドレッシングにしたりしても、さわやかにまとまります。たとえば、牛しゃぶや豚しゃぶをゆでた後に、少し振りかけるだけで風味がよく、おいしいですよ」

市瀬さんおすすめの、「バランス ナンプラー ゴールド」。新鮮な魚を塩漬けにし、24ヶ月間、じっくりと熟成。
その上澄みだけを使用している。

市瀬悦子(いちせ・えつこ)さん

料理研究家

市瀬悦子(いちせ・えつこ)さん

料理研究家

市瀬悦子(いちせ・えつこ)さん

身近な食材でできる、作りやすいアイデア満載のおいしい家庭料理レシピが人気。書籍や雑誌、テレビなどで活躍。著書に『食材2つで大満足弁当』(主婦の友社)、『炊き込みベジごはん』(主婦と生活社)など、多数。
https://www.instagram.com/ichise_etsuko/

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