手仕事カレンダー
vol.16 新谷友里江さんのぬか漬けと納豆で作る「発酵旨味ドレッシング」で 発酵食品+旬の野菜を毎日おいしく食卓に!
2025/05/22
手仕事カレンダー
2025/05/22
発酵食品は、毎日でも食事にとり入れたいもの。しかし、献立への合わせ方やアレンジ方法でレシピに悩んだり、「毎日続けるのにはハードルが高い、、、」と感じる方も多いかもしれません。
そこで料理家の新谷友里江(にいやゆりえ)さんが考えたのが、ドレッシング仕立てにするということ。旬の野菜にかければ旨味を引き立て、さらに他にもさまざまな使い方ができるといいます。故郷・茨城ならではの発酵食品「そぼろ納豆」のエピソードとともに、話を聞きました。
4年ほど前、ダイエット中に起きた、思わぬ体の変化がきっかけで、新谷さんはしっかり、バランスよく食べることの大切さを痛感したといいます。
「糖質オフの食事を実践するとみるみるうちに成果が出たのですが、それまで快調だったお通じに悩むようになってしまいました。バランスのよい食事を組み立てるときに発酵食品も毎日、積極的にとりたいと考えるようになったのです」
ところが、発酵食品を毎日食べ続けてみると、それが意外と難しいことだと気づいたそう。
「漬け物や納豆などの発酵食品は、そのまま食べて十分においしいですよね。でも、毎日だと食べ飽きてしまうし、料理にとり入れて調理すると、かえって『そのまま食べたほうがおいしかったな』と感じることもあって……。そんななかで思いついたのが、発酵食品をドレッシングにしてみることでした」
発酵食品をドレッシングにしてみると、いいことづくしだったそうです。
「日持ちがするので、常備しながら少しずつ、手軽に食事にとり入れられるようになりました。また、旨味が豊富な発酵食品を使うことで、旬の野菜にかけるだけでおいしさがいっそう引き立ち、食が進みます。もちろんサラダだけでなく、他にも使い道がいろいろあるので、作っておくと毎日の料理に活躍しますよ」
今回は、ぬか漬けと納豆を使った2種類のドレッシングを教えてもらいました。ぬか漬けはオリーブ油との相性がよく、洋風の味わいに。合わせる材料によって、和の発酵食品を洋風にアレンジできるのも、「発酵旨味ドレッシング」の魅力です。「納豆ドレッシング」はしょうゆとごま油で風味よく仕上げ、納豆独特のクセも気になりません。
「ぬか漬けはちょっと古漬けになったものを使っても、酸味と旨味がドレッシングによく合います。納豆は他の食材との絡みがいいので、ドレッシング向きの食材ですね」
「ぬか漬けドレッシング」には、刻んだぬか漬けをたっぷりと。
〈ぬか漬けドレッシング〉
きゅうりのぬか漬けは5㎜角に刻んで、絡みをよくする。自家製でも市販のものでもよいが、
ぬか漬けの塩けによって、ドレッシングの塩の分量を加減するとよい。
1.ボウルに米酢、塩を入れて混ぜ、溶かす。残りの材料を加え、よく混ぜ合わせる。保存容器に入れ、冷蔵室で1週間ほど保存可能。
塩は酢に入れて混ぜて先に溶かしてから(左)、その他の材料を混ぜる(右)。
〈納豆ドレッシング〉
ひきわり納豆だと、ドレッシングにしたときにより絡みやすい。2パックたっぷりと。
アーモンドやくるみ、カシューナッツなど好みのナッツを混ぜたミックスナッツは、包丁などであらく刻んで。
1.ボウルに米酢、砂糖を入れて混ぜ、溶かす。残りの材料を加え、よく混ぜ合わせる。保存容器に入れ、冷蔵室で1週間ほど保存可能。
「納豆は、調味料や油と混ぜるとさっとほぐれます」(新谷さん)。
初夏は、豆類、アスパラガス、ほろ苦いクレソンなど、フレッシュな香りや味を持つ野菜を楽しめる季節。「発酵旨味ドレッシング」をかければ、旬野菜のおいしさが引き立ちます。
「肉や魚などのたんぱく質を合わせておかずサラダ風にすると、ボリュームたっぷり。これだけで、メインのおかずになりますよ」
クレソン、ゆでたグリーンアスパラガスやスナップエンドウ、そら豆に鯛の刺身を盛りつけ、
「ぬか漬けドレッシング」をかけた、おかずサラダ。白ワインなどにも合う味わい。
ドレッシングの旨味を生かして、他の料理にもいろいろ活用してほしい、と新谷さん。
「『納豆ドレッシング』は、そうめんにかけるとランチにぴったり。焼いた厚揚げや肉にかけるとおかずになります。『ぬか漬けドレッシング』は、カルパッチョのソースにしたり、パスタにあえたりしてもおいしいです」
しゃぶしゃぶ用の豚肉と小口切りのにらをそうめんにのせ、「納豆ドレッシング」をかけて食べる、
「豚しゃぶとニラの納豆和え麺」もおすすめ。
茨城県出身の新谷さんにとって身近な発酵食品といえば、「納豆」。実家では毎日のように食卓に並び、今でも週に1回は食べるそうです。そして、小さいころから親しんできたのが「そぼろ納豆」。刻んだ切り干し大根を納豆と混ぜ合わせてしょうゆやみりんなどの甘じょっぱい調味液に漬け込んだ、水戸の伝統食です。
「茨城ではスーパーに市販のそぼろ納豆が何種類か並んでいるほど、なじみのある食べ物です。東京で暮らすようになって、スーパーで売られていないことに驚きました(笑)」
切り干し大根のかみごたえと納豆がよく合い、ごはんにかけるとぺろっと食べてしまうおいしさです。ボリューム感も満点。「市販品は味つけが濃いので、お茶漬けにするのもおすすめです」
新谷さんはもっぱら、手作りしているそう。「いため煮風にすれば簡単ですし、自分好みの薄味に調整できるのもいいんですよ」
切り干し大根15gを水に20分ほどつけてもどし、水けをしぼって1㎝幅に切り、米油大さじ1/2を
熱したフライパンでいためる。油が回ったら納豆2パック(90g)を加えてさっといため、しょうゆ大さじ1.5、
みりん大さじ1を加えて汁けがなくなるまでいため合わせる。
料理家
料理家
管理栄養士。二児の母。祐成陽子クッキングアートセミナー卒業後、同校講師の料理家・祐成二葉さんのアシスタントを経て、独立。現在は書籍・雑誌・広告のレシピ開発やフードコーディネートを中心に活躍中。作りやすく、元気になれるヘルシーなレシピが好評。著書に『するっと、おかずサラダ』(文化出版局)、『野菜どっさり やせパスタ100』(主婦と生活社)など多数。