発酵を訪ねる
カレー激戦区・松本で味わう
発酵×創作スパイスカリー「発酵とスパイス」
2026/06/18
発酵を訪ねる
2026/06/18
美しい街並みが残る城下町。ゆったりとした時間が流れる松本の城東に、2022年末に料理研究家の上田絢香(うえだ あやか)さんが夫の隆友(たかとも)さんと創作スパイスカレー店「発酵とスパイス」をオープン。今年4年目を迎えるおふたりに発酵×スパイスカリーへの想いをお伺いしました。

絢香さんが発酵食に惹かれたきっかけは、妊娠や出産を経てホルモンバランスを崩したときに発酵食を取り入れ、少しずつ体調の改善を実感したことでした。
「以前は身近にあった『発酵食をもっと取り入れたい、伝統を受け継ぎたい』と、味噌や甘酒、塩麹などの発酵調味料を手づくりすることにハマっていました。そして若い人にもこの楽しさを知ってもらいたいと思い料理教室を始めました」
しかし、2020年のコロナ渦の折、料理教室に人を集めることができなくなってしまい、キッチンカーを始めることに。最初はひとりで始めた絢香さんですが、隆友さんの仕事が激務だったこともあり、せっかく大きなキッチンカーを買ったのだからと、ふたりで本格始動。そこから徐々にお店を持ちたいと思うようになったそう。

「お店を始めるなら絶対カレーでやりたいと思いました。カレーは食べ歩くこともつくることも大好きだったので。料理教室をしていたとき、和食以外の発酵調味料の活用法が分からない方が結構多かったんです。私自身、和食以外にも得意だった洋食やカレー、中華と発酵をかけあわせて料理をつくるなかで好評だったのがカレーでした。甘酒のカレーを思いついたのは、夫が外仕事だったので夏バテしないように甘酒を飲ませたいと思ったのがきっかけです。その頃、彼は甘酒が苦手で。カレーに甘酒をたっぷり入れて何も言わずに出したんです。そしたらうまいうまいって食べてくれて。お店を出そうと決めたとき、発酵に興味がない人にも発酵の魅力を知ってもらう入り口になりたいと思いました。」

ランチで提供しているのはスパイスカレー3種類。手づくりの麹甘酒や塩麹を使った「麹甘酒バターチキン」、スパイスと醤油を合わせて和風に仕上げた「グルテンフリー醤油キーマ」、パクチーとバジルが香る「味噌のパリップ(豆カレー)」。カレーとご飯の上に発酵をテーマにしたさまざまな副菜が盛られ、食べるたびにおいしさの連続です。少しずつ混ぜて“味変”させながら食べていく楽しさも醍醐味のひとつ。

左上から6~7年熟成させた手づくりの熟成味噌。クミンを入れた甘酒、塩麴ビーツ。
左下からネパールのすんき漬け「グンドゥルック」、昨年つくった自家製味噌と塩麴。

アンティークの家具やウィリアム・モリスの壁紙などで彩られた空間。
広いテーブルも家族や友達同士で来られるような店にしたいという思いから。

お客様の要望で販売を始めたガラムマサラとチャイスパイス。

「今改めて注目されている発酵も古くから受け継がれてきたものであるように、その時だけの流行ではなく、飽きられないよう定番化していきたいです。飲食店はすぐに飽きられてしまう。そうならないようにアンティーク家具の販売も大きくしたいですし、カレーも徐々にできること増やしていきたいです。基本全部二人でやっているので手が回らなかったのですが、最近は冷凍カレーもようやく始めることができました。ありがたいことに開店当初から多くのお客様にお越しいただきましたが、最近になってようやく、地元の皆さまにもさらに深くお店のことを知っていただけるようになってきたな、という実感があります。ただ、意外とまだ『こんなところにこんな店があったんだ』と驚かれることもあるので、もっともっと知ってもらえるように、今年はいろんなイベントにも出展したいなと思っています」

冷凍カレーはお店で味わえる3種類。通販でも購入可能。
お店を続けていくためにはどうしたらよいかを常に考えているおふたり。
発酵とカレーへの愛情が伝わる素敵なお店でした。