心ほっこり甘酒探究。

榎本美沙さんに教わる
春野菜と相性ぴったりの
糀甘酒を使ったクリームパスタ

2023/04/06

味噌、醤油、酢など、日本にはさまざまな発酵食品・発酵調味料があり、私たちの生活に根付いています。糀甘酒もまた、料理に甘みやコクなどを加え、調味料のように使える発酵食品のひとつです。
今回お話を伺ったのは、味噌や塩糀をはじめとした発酵食品や旬の野菜を使ったレシピをさまざまなメディアを通じて提案してきた料理家の榎本美沙(えのもとみさ)さん。だんだんと春の気配を感じるようになったこの日、ご自宅に伺い、糀甘酒と春野菜を用いたレシピを教えてもらいました。

“いいこと”いっぱいの発酵食品
でもやっぱり“美味しさ”は一番の魅力

レシピを教えてもらう前に、まずは発酵食品の魅力について伺いました。
榎本さんが、発酵食品の魅力に気がついたのは、忙しい生活を送っていた会社員時代だったといいます。

「私はもともとお味噌汁が大好きで、会社にも毎日持っていっていたぐらいでした。慌ただしい日々でしたが、大きく調子を崩すことなく過ごせていたのは、お味噌汁のおかげかなと思っています。そこから、次第に味噌を料理に使ったり、塩糀や糀甘酒など、さまざまな発酵食品を用いて料理をするようになっていったんです」

そして、発酵食品の美味しさにどんどん惹かれていったそうです。

「発酵食品をとると、腸環境がいいなと感じたり、肌の調子がよかったり、なにか体の調子が整っていると感じます。今日食べたら明日改善するというようなものではないけれど、『体にいいんだなぁ』を実感してきました。これは発酵食品の魅力のひとつですよね。
でも、発酵食品の一番の魅力は?と聞かれたら、やっぱり美味しいことだと思っています。発酵食品自体の美味しさもありますし、発酵食品を用いることで、野菜に旨みや甘みが加わったり、お肉やお魚が柔らかくなったり、ほかの食材も美味しくなる。これは本当にすごいことですね」

さらにお子さんが生まれたことで、改めて発酵食品の便利さや使いやすさを実感しているそうです。

「今はまだ離乳食が始まったばかりなのですが、子どもにはできるだけ安心できるものを選びたい。そう考えたとき、糀甘酒は離乳食づくりに使ったり、そのまま飲んだり、利用しやすい発酵食品ですね。きっとあのやさしい甘さは子どもも大好きだろうと思います。
それに子育て中の母という視点から見ても、発酵食品はとても魅力的です。美味しいお味噌ならお湯を注ぐだけで即席味噌汁ができたり、塩糀や玉ねぎ糀などを加えるだけでスープの旨味がアップしたりする。シンプルな工程で、美味しくて体に優しいものをつくれるのは、発酵食品のおかげです。とても助けられているなと思いますね」

糀甘酒 × ほろにが春野菜
旬を感じるクリームパスタ

さまざまな発酵食品を日常的に取り入れている榎本さんに、今回は『プラス糀 糀甘酒』を用いたレシピをご紹介いただきました。

「今回つくるのは、これからの季節、柔らかくて美味しい春のかぶを用いたレシピです。糀甘酒を用いることで、シンプルながら春らしくて美味しい一品ができます」と榎本さん。

かぶの糀甘酒クリームパスタ

  • [材料](2人分)
    スパゲッティ(1.6mm)160g
    かぶ(葉つき)小2個
    ベーコン2枚
    玉ねぎ1/2個
    オリーブオイル大さじ2
    薄力粉大さじ1
    (A)牛乳1カップ
    (A)糀甘酒(ストレートタイプ) 1/2カップ
    小さじ1/4
    こしょう適量
  • [作り方]
    【1】玉ねぎは縦薄切り、かぶは1.5cmの角切りにし、かぶの葉は刻む。ベーコンは1cm幅に切る。

    【2】フライパンにオリーブオイルを中火で熱し、玉ねぎ、ベーコンを炒める。
    しんなりしたらかぶ、薄力粉を加え炒める。

    ★pointこのタイミングで薄力粉を加えることで、ホワイトソースを準備する必要がなく、軽やかなクリームができあがります。

    【3】粉っぽさがなくなったら(A)を少しずつ加える。
    塩、かぶの葉を加え、とろみが出るまで加熱する。

    ★point(A)を加える際、薄力粉がダマにならないよう、最初は特に少しずつ、ゆっくりと加えてください。

    【4】鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩(分量外/水2リットルにつき大さじ1/2)を加える。
    スパゲッティを袋の表示の1分短く茹でる。
    【5】スパゲッティの茹で上がりに合わせて【3】を再び温めて、湯を切ったスパゲッティを加え混ぜる。
    【6】器に盛り付け、こしょうを散らす。

「糀甘酒のやさしい甘さは、少しほろ苦さのある春野菜ととても相性がいいんです。かぶの代わりにアスパラや菜の花などの野菜を使ってもおいしく仕上がります。今回は、かぶの葉をすべて加えて、栄養価が高い葉っぱを無駄なく味わえるレシピにしました」

春野菜と糀甘酒の相性のよさに気付いたのは、春キャベツのスープに糀甘酒を用いたときだったと榎本さん。肉や魚と合わせたり、飲み物やスイーツに好んで使っていた糀甘酒でしたが、春野菜との組み合わせがとても新鮮に感じたそうです。

「もちろん、相性がいいのは春野菜だけでなく、冬になったら野菜を白菜に代えて、糀甘酒の量を増やし、少しこっくりとしたソースにしても美味しいです。旬の野菜を用いて、さまざまなアレンジを楽しんでくださいね」

発酵食品で美味しく、豊かに
気軽に日常に取り入れて

榎本さんのご自宅には、榎本さん自身が仕込んだ味噌や塩糀をはじめ、さまざまな発酵食品があります。発酵食品を自宅でつくる楽しさについても話してくださいました。

「発酵食品は、仕込む時期、材料、仕込み手によって味わいが変化します。だからこそ、自分でつくると愛着が湧きますね。家庭の味ができて楽しいです。
うちは毎年味噌をつくるのですが、私と夫と一つずつ仕込みます。同じようにしていても味が変わるのが面白くて。子どもが大きくなったら、子どもにもつくってもらって、味を比べたいですね」

塩糀、味噌、発酵白菜、豆板醤、醤油など、さまざまな発酵食品をご自宅でつくっている

でも、「発酵食品をつくるのは、ちょっと大変そうと感じる人は、市販のものを利用するので十分。それよりも発酵食品を気軽に日常に取り入れてほしいです」と榎本さん。発酵食品を使うのは、ハードルが高いと感じたり、意識が高い人が使うというイメージもまだまだあるけれど、意外と“本当に”そうじゃないと、伝えたいといいます。

「たとえば塩糀は塩と同じように使えるし、糀甘酒も甘味料の代わりになります。発酵食品って試してみると、すごくシンプルに生活に組み込めると思うんです。私が、『ひと晩発酵みそ』(主婦と生活社刊)や『ゆる発酵』(オレンジページ刊)という本をつくったのもそういう思いがあったからです。
料理に使うだけでなく、私は毎朝、コップ半分ほどの糀甘酒に黒酢を大さじ1杯ほど加えたドリンクを飲んでいます。簡単でおいしいし、とってもすっきりするんです。そんな風に気楽に取り入れてもらえたらなって思います」

発酵食品を暮らしに気軽に取り入れる工夫がたくさん掲載された
榎本さんのご著書『ゆる発酵』と『からだが整う“ひと晩発酵みそ”』

そのためにも、榎本さんはこれからもさまざまな提案をしていきたいと話します。

「私は器用ではなくて、子どもの頃からいろいろなことを一気にやろうと思ってもうまくいかないタイプでした。でも大人になって、だったらシンプルにすれば楽にできるんだって気がついたんです。そんな思いが私のレシピには反映されています。シンプルな料理に発酵食品を取り入れることで、美味しくなるし、少し豊かな気持ちになれます。これからもつくっていて気持ちがよくなる料理を心がけていきたいですね。
同時に、発酵食品はとても奥深い食品ですから、こんな組み合わせがあったのかとか、こんな発酵食品があるのかといった新しい提案もできたらと思っています」

榎本美沙(えのもとみさ)さん

榎本美沙(えのもとみさ)さん

料理家・発酵マイスター。「発酵食品」「旬の野菜」を使ったシンプルなレシピに定評があり、テレビや書籍、雑誌などのレシピ開発やイベント登壇などを行う。登録者数25万人を超えるYoutubeチャンネル『榎本美沙の季節料理』やInstagram(@misa_enomoto)も人気。新刊『ちょこっとから楽しむ はじめての梅仕事』(山と渓谷社)が2023年4月に発売。
その他著書に『ゆる発酵』(オレンジページ)、『からだが整う“ひと晩発酵みそ”』(主婦と生活社)など

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