発酵を探しに沖縄へ

発酵の力で、沖縄の食文化を未来へ
総料理長・照屋さんが守り続ける「本当においしい料理」

2026/10/22

発酵の力で、沖縄の食文化を未来へ総料理長・照屋さんが守り続ける「本当においしい料理」
発酵の力で、沖縄の食文化を未来へ総料理長・照屋さんが守り続ける「本当においしい料理」

「おいしい料理とは、素材を生かし、食べた人がほっとできる料理だと思います。」そう穏やかに語るのは、EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾートで20年以上にわたり和食を手掛け、総料理長をつとめる照屋寛幸(てるや ひろゆき)さん。ホテルの「発酵」を支える一人として、発酵の力と琉球料理の文化を未来へつないでいます。

発酵は特別なものではない
毎日の料理をおいしくする力

ホテルが発酵をテーマに掲げる以前から、EMの理念に触れ、発酵を意識した料理づくりを続けてきた照屋さん。リブランドを機に、その取り組みはさらに深まりました。現在、厨房では塩糀や甘酒、かつお粉を組み合わせたオリジナルの発酵調味料を使用。ゴーヤーチャンプルーをはじめとする沖縄料理も、この調味料だけで十分なうま味を引き出せるため、化学調味料に頼る必要がないといいます。

「発酵を使えば、素材そのものの味が生きてきます。自然なうま味が出るので、余計なものを加えなくても満足できる味になるんです」

発酵は健康のためだけではなく、おいしさを引き出す技術でもあるといいます。

受け継ぐべきは、 料理だけではなく文化

照屋総料理長は「琉球料理伝承人」の資格を持ち、琉球料理保存協会でも活動しています。この制度は、「このままでは琉球料理が失われてしまう」という危機感から沖縄県が始めた取り組み。1週間にわたる厳しい講習では、調理技術だけでなく、琉球王朝の歴史や食文化まで幅広く学びます。

沖縄県では調理師または栄養士の資格を有し、10年以上の実務経験がある方を対象とした
「琉球料理担い手育成講座」の全カリキュラムを受講した者を、県が「琉球料理伝承人」に認証。

「本物の琉球料理をきちんと学びたい。そして、若い料理人へ伝えていきたいと思ったんです」

ホテルでは、琉球王朝の宮廷料理「東道盆(トゥンダーブン)」を提供する宿泊プランも用意。さらに朝食では手づくりのサーターアンダギーや沖縄の郷土料理を並べ、旅行者が自然と沖縄の食文化に触れられるよう工夫しています。若手スタッフにも資格取得を勧めるなど、料理を「残す」ことも総料理長としての大切な仕事です。

おいしさを決めるのは、
見えない手間

発酵や素材へのこだわり以上に、照屋総料理長が何度も口にしたのが「下処理」の大切さ。

「どんなに良い食材でも、下処理を丁寧にしなければ、おいしい料理にはなりません。野菜のあく抜き、肉の下処理、昆布とかつおで毎日引く一番だし——。表には見えない工程こそが、やさしい味わいを生み出しています。ホテルでは、精製された白砂糖や化学調味料を極力使わず、国産小麦や手づくりの調味料を採用。惣菜もできる限り手づくりを貫いています。素材の味を生かして、食べた人がほっとする料理を届けたいと思っています」

その言葉には、料理人として積み重ねてきた経験がにじみます。

また、近年ではヴィーガンメニューにも積極的に取り組んでいます。

「最初はスタッフの理解を得るために時間がかかったものの、今では「また発酵料理をやりたい」「ヴィーガンメニューを増やしたい」という声が自然と上がるようになりました。理念がスタッフにも浸透してきたんだな、と感じたときは本当にうれしかったですね」

発酵もヴィーガンも、目的は同じ。「心と体においしい料理」を届けること。最後に照屋総料理長は、料理以上に大切にしていることを教えてくれました。

「料理人が健康で、気持ちよく働ける環境をつくること。それが料理長として一番大切な仕事だと思っています。約20人の料理スタッフが、それぞれの力を発揮しながら笑顔で働けること。その空気感が料理にも表れ、お客様へ伝わっていくと思っています」

発酵は微生物の力だけではありません。素材を慈しみ、文化を受け継ぎ、人を育てる。その積み重ねこそが、このホテルの「発酵美食」を支えているのです。

照屋寛幸(てるや ひろゆき)さん

暮らしの発酵ライフスタイルリゾート総料理長

照屋寛幸(てるや ひろゆき)さん

暮らしの発酵ライフスタイルリゾート総料理長

照屋寛幸(てるや ひろゆき)さん

沖縄の豊かな食文化と発酵の知恵を未来へつなぐ料理人。EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾートで、沖縄の伝統食材や発酵を生かした料理を手掛けるほか、沖縄県認証「琉球料理伝承人」として琉球料理の継承と普及にも尽力。土地の恵みを丁寧に引き出し、身体にやさしく、心まで満たされる一皿を通して、沖縄ならではの食の魅力を発信し続けている。

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