日本の朝ごはん

一日の始まりは朝がゆでほっこり。
世界のVIPにも愛される日本伝統の味。
-京都南禅寺湖畔-瓢亭-

2012/12/20

ふとしたきっかけで誕生した朝がゆ。

ふとしたきっかけで誕生した朝がゆ。

お待たせしました。これが瓢亭自慢の朝がゆです。
その昔、夏の朝五時頃に祇園で夜遊びをした旦那衆が芸者さんと連れだって訪れ、寝ている主人を起こして「なにか食べさせて」と訴えたときに、ありあわせの材料で作って出したのが朝がゆ。いわば顧客のわがままな注文に応えたのが始まりだったわけで、お店のトレードマークの瓢箪に掛ければ、まさに瓢箪から駒が出た感じです。
名物の瓢亭玉子が盛られた八寸、瓢型の三ツ重ね鉢、吸物椀とお粥。暑い時期に熱いお粥に熱い葛あんをかけて食べる献立は瞬く間に評判になって、明治初年からは「朝がゆ」という看板をあげて売り出したそうです。

ふとしたきっかけで誕生した朝がゆ。

八寸には、必ず瓢亭玉子。半熟の黄身はねっとりと濃厚だが、このうえなくやさしい味。八寸に添えられる料理は季節によって変わるが、この日は「鯛の小袖寿司」、「もろこの甘露煮」など。
三ツ重ね鉢の上段には、「きゅうりと柿の胡麻和え」。中段には今が旬の「鰆の焼き物」。下段は炊き合わせで、ねっとりとしてコクがある「エビイモの炊きもの」とあっさりとした出汁がしみた京菊菜など。献立はそのときどきの旬に合わせて変わるけれど、冬場の味付けは夏よりも濃いめで、体が温まる料理を心がけているそうです。

ふとしたきっかけで誕生した朝がゆ。

八寸には、必ず瓢亭玉子。半熟の黄身はねっとりと濃厚だが、このうえな夏期は先述の葛あんをかけた白がゆが出されるが、冬場はこちら。
一度炊いたご飯を、うずらのガラと野菜から取った出汁で炊き、細かく刻んだうずらの肉を加えた雑炊。炊き上がりにセリが加わり、セリの香りとうずらの相性は抜群です。
戦後間もなく出されるようになった「うずらがゆ」は、今では瓢亭冬の名物料理。濃厚な「白みそ汁」はなめこと利休麩、辛子がぴりりときいていた。

十五代目若主人の情熱は世界へ広がる。

十五代目若主人の情熱は世界へ広がる。

四百年の伝統を背負う十五代目主人の髙橋義弘さんは1974年生まれ。
ひと昔前までは、中学校を卒業すると同時に料理の世界に入るのが一般的だったが、「人付き合いを含めて料理以外のことを学ぶのもこれからは大切」だと考えて大学では経営学を専攻。卒業後に金沢の料亭「つる亭」で修業して、25歳のとき瓢亭に戻った。
「外国から来られるお客様も多いですし、グローバルな時代になったと思います。自分も世界のいろいろな料理から知恵を吸収したいし、堅苦しく伝統を守るというよりも時代に合った料理を提供していきたいです」と実に柔軟で頼もしい。

十五代目若主人の情熱は世界へ広がる。

料理は難しい。和え物ひとつでも、素材の状態や味付けはもちろんのこと、野菜の切り方、しぼり方、そして盛り方ひとつで味は変わってしまう。「料理は毎日毎日の積み重ねで少しずつ分かってくるものだと思います」とは義弘さん。
瓢箪の形をした三ツ重ね鉢には「一帯青松路不迷」と書いてある。これは、頼山陽(らいさんよう)が詠んだ名歌の一節で「南禅寺参道の松林の一本道を行けば路に迷うことがない」という意味。

十五代目若主人の情熱は世界へ広がる。

懐石料理の献立表は父親の英一さん筆。「まだまだ自分はここまで書けません」と義弘さんは謙遜するが、茶道の稽古や勉強は欠かさない。料理以外にも、花の名前や器の歴史、掛け軸の意味など学ぶことがたくさん。伝統ってやっぱりそれなりに重いです。

明るくて風通しのいい調理場。ここで世界のVIPたちが唸る料理ができあがる。

瓢亭

住所:
京都府京都市左京区南禅寺草川町35
TEL:
075-771-4116
URL:
http://hyotei.co.jp/

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