甘酒の歴史・読み物

甘酒祭りレポートVol.7
千虎白山神社 甘酒祭り

甘酒祭りレポートVol.7千虎白山神社 甘酒祭り

400年以上続く白山信仰の美濃馬場にて行われる、春一番の甘酒祭

岐阜県郡山市にある千虎白山神社(ちとらはくさんじんじゃ)は、長良川沿いを走る長良川鉄道越美南線の相生駅から徒歩13分ほどの場所にあり、近くの国道156号線沿いに鎮座しています。

千虎白山神社

当社の起源は、奈良時代初期の養老元年(717年)に越中の僧・泰澄(たいちょう)が白山を開山し、白山信仰(はくさんしんこう)の布教を基に、養老年間(717~724年)に創建され、古い歴史のある神社であると記されています。主祭神は伊邪那美命、そして摂社に伊邪那岐命と菊理姫命が祀られています。

今回は春一番に行われる千虎白山神社の甘酒祭りをお伝えします。

※本記事は、2019年3月3日に開催された祭りの模様を取材した記事です。

『一に長滝お蚕祭・二には千虎の甘酒祭り』と言われる千虎甘酒祭りの起源とは

千虎白山神社甘酒祭

江戸時代初期で400年以上続く白山信仰の美濃馬場(みのばんば)である千虎白山神社は巷で『一に長滝お蚕祭・二には千虎の甘酒祭り』と呼ばれているほど知られているお祭りです。

古い文献には『毎年抽籤を以て其の醸造者六名を定め、定められたるものは之を謹製して…』と掲載されているとおり、地域住民宅から1軒の当元を定め、その年の祭事に使用する甘酒を当本宅で1週間前から仕込み始めます。

千虎白山神社甘酒祭

10年前までは神田(社有田)で稲を育てて甘酒を作っていたそうですが、今では地元のお米を使って仕込んでいます、とのこと。現在も翌年に甘酒の番を担当する当元さんを、ご神事を一通り終えた後に、稲藁によるクジ引きで決めているそうです。

かつては甘酒6斗(108ℓ)余を社前の大釜で煮立て、村人一人一人が名を呼ばれてお椀一杯の甘酒を飲み、全員が飲み終わると、残りの甘酒を飲み干したそうです。 現在は、全員で甘酒を飲み干すということはなく、多くの方がやかん等に入れて持ち帰っている、とのことでした。

いよいよ神事がスタート!

千虎白山神社甘酒祭

雨が降る中、甘酒祭りが開始されました。

12:00から公民館で獅子舞が舞われた後、御神饌を持った列が神社に向かっていき、その後を神輿を担いだ列が続きます。

御神饌を持った方々及び宮司さんは、口に榊の葉を加えて歩いていました。神様にお供えする御神饌に息が掛らない様にするためだとか。

千虎白山神社甘酒祭

行列に付いていく際に、周りの家々の水を貯める水槽に、なみなみと水が注ぎこまれている様子を拝見しました。この地域では湧き水等を水槽に溜めて使用しているとのことで、用水路を流れる水に至るまで、非常に綺麗な水が流れているのが印象的です。

13:00から神社の社殿にて式典が開催され、しばらくしてから獅子舞の奉納が始まりました。

獅子舞の奉納の前に、『東西~、東西~、天下泰平、国土安穏、五穀豊穣、氏子繁盛として、白山様へ伊勢神楽舞い始められ候や~』との掛け声が読み上げられます。

千虎白山神社甘酒祭

14:00に式典と獅子舞が終わると参拝者および氏子の方々に甘酒が振る舞われます!待ってましたと言わんばかりに甘酒には人だかりができました。その間に来年の当番(甘酒を造る家)を決める為の籤引きが執り行われています。

甘酒は、麹の独特な香りと仄かな酸味のある美味しく飲みやすい味わいでした。寒い中、大釜を煮立てる火の傍で飲む熱々の甘酒は格別の味です。

千虎白山神社甘酒祭

400年以上続いている甘酒祭ですが、来年の当番を籤引きで決めているのを見て、昔にタイムスリップしたような気持ちになりました。


開催日:
3月第一日曜日開催 (12:00~公民館にて獅子舞、13:00~社殿にて式典、及び獅子舞奉納、14:00~甘酒振る舞い)

開催場所:
岐阜県郡上市八幡町吉野570

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